【第 11 節】もう一度、戦う集団へ。トラッキングデータに見るアビスパ福岡の傾向と対策的なもの

スポンサーリンク

コンセプトは悪くないと思うんですが

大宮アルディージャ戦。アビスパ福岡がやりたいことは見えたように思います。

しかし、結果は 1 – 2 での敗戦。

とはいえ、FC 東京戦から導入した 4 – 4 – 2 の手応えは引き続きあったと思うんですが・・・。

中 3 日かつ、九州から仙台という移動含めて厳しい日程になりましたが、ここでよいパフォーマンスが見れると、今後の期待がグッと上がりそう。と、良い試合を期待したんですが・・・。

結果はまさかの 0 – 2 の敗戦。

やりたいことは見えたように思うんですが、試合内容が良くなかった。

コンディションの問題なのでしょうか。

期待を完全に裏切られた形に。

0 – 2 と完敗。

点の取られ方も微妙ですが、惜しいシーンもなく。

足りないのは、個のレベルなのか、気持ちの問題なのか、またそれ以外の問題があるのか・・・。

そんなベガルタ仙台戦を振り返ってみたいと思います。

試合開始直後のハイプレス合戦

先発メンバーは先日の大宮アルディージャ戦からほぼ変更はなし。

4 – 4 – 2 の継続となりました。

変更点は、右サイドのキム・ヒョヌンに代わって實藤。

キム・ヒョヌンとしては前節、守備に関しては良かったように思います。

ただサイドバックとしては攻撃面ではちょっと厳しい面があったかも。

コンディション的な判断も会ったかもですが、今回井原監督は、實藤の方が適任と見たといういうことでしょう。

そんな形でスタートした前半開始直後。

ベガルタ仙台とのプレス合戦。

シンプルにボールを前に出す分、アビスパのボールポゼッションは上がりませんでしたが、開始直後数分のプレス合戦はそう悪くない展開だったと思います。

ただ徐々に落ち着くと、自陣に入りこまれゴールエリアの前で前を向かれるシーンがちらほら。

ゴールエリア前でボールを回されてしまう形も。

大宮戦とくらべると、押された展開に。

アビスパが狙うボール奪取としては、サイドで詰めて、そこからショートパスの受け手を狙う。

と言った感じ。

avispa-press_48-157_optimized

このような形で奪えると、ウェリントン、金森にボールを入れて良い形でカウンターの予感があったんですが。

ただ、この位置よりもうちょっと押し込まれてしまうと、ボールを奪ってもなかなか攻撃には転換できないかなーという展開。

守備で良い形がつくれませんでした。

この辺は、今シーズンずーっと続いているジレンマかなと。

大宮戦、FC 東京戦と比較すると、ちょっと動きが良くないかなーというのはありました。

しかし、ウェリントンの落としから末吉が前を向いたシーン。

sueyoshi-pass_130-266_optimized

やや後ろ目のポジションから城後が裏に抜け出して、反転シュート。

前節のパスのデジャブを見ているようなシーンでしたが、残念ながら結果までデジャブ。

ただ、こういう形があと数回作れれば、勝負は全然できると感じていたんですが。

そういった前半の入りだったんですが・・・。

またセットプレーから失点

前回の大宮アルディージャとの試合もセットプレーから失点してしまうわけですが・・・。

この試合もセットプレーから失点。

結局 2 失点がすべてセットプレーからになるのですが、セットプレーでの守備は見直しする必要があるかもしれません。

ただ、その前のプレーがちょっと問題。

直接コーナーキックにつながったプレーではないんですが・・・。

アビスパが攻めこんでいたシーンなんですが、ボールを失ったあと。

城後がゴール前に入り込む関係上、アビスパの右サイドはスペースが空きやすいのですが、その空いたスペースにボールが展開。

すると、誰もおらず。

普段であれば全速力で末吉がカバーに来るんですが。

このときは、戻るのが精一杯という感じ。

avispa-lost-counter

鈴木惇にしても攻撃参加に加わっており、こちらも戻りきれず。

城後も急いで戻るんですが、間に合わず。

相手も 2 人いるので、實藤も突っ込むわけにもいかず。

ただ、ズルズルと下がってしまったシーン。

相手も何の苦もなく、ゴール前まで侵入。

ここからボールを回されて、逆サイドでコーナーキックを与えてしまいました。

そして、失点。

厳しい日程でコンディション的にも難しいところがあったと思うんですが。

普段であればもっと厳しく行けたところかと。

というか、そこは行って欲しかった。

井原監督もハーフタイムのコメントにて

「人任せにせず、自分で行け」

といった指示を出していたようですが、こうしたプレーを指していたんではないかと。

個人的には、この日の試合を象徴していたシーンだったのかなと。

アビスパ福岡の理想型は湘南ベルマーレ?

昨年アビスパ福岡が目指しているプレースタイルとして個人的になんとなくお手本なのかな?

と、思っていたのは勝点101を獲得し圧倒的な強さで J2 を優勝した頃の湘南ベルマーレでした。

3 – 4 – 2 – 1 というフォーメーションも似ていますし、その時の湘南のワントップだったウェリントンもいます。

湘南の攻撃スタイルは、圧倒的な走力を活かし人数をかけた攻撃を仕掛けるところにありました。

3 バックの一角もオーバーラップし、点をとったりクロスでアシストしたり。

そのクロスにも 5 人がゴール前に詰めるなど、守備もそうでうすが、攻撃もリスクをかけて全員が非常に良く走るチームスタイルでした。

アビスパも J2 で調子の良い時は、攻撃に人数かけることができてました。

鈴木惇がチーム得点王だったのは、フリーキックの得点もありますが、攻撃時に鈴木惇がゴール前まで攻め上がってフィニッシュに絡めていたからこそだと思います。

また、3 バック左右の堤、田村といったところが相手陣地深いところで攻撃に絡めるときも調子が良かった。

選手からもハードワークというキーワードも出ていたので、「走力」も意識されていたと思います。

もちろん違うところも多いとは思いますが、湘南のチームスタイルと通じるところもあるのかな?

というのが、昨年までのアビスパの印象でした。

走行距離&スプリント数を見てみる

そういうのもあって、アビスパ福岡もある程度「運動量」のあるチームだと思っていました。

守備は「リトリート」で待ち構えるので、守備で走り回る印象はないんですが、攻撃時にしっかりと走って人数をかける。

というところでそれなりに走っているのかな?

と、思っていました。

J リーグは 2015 年からトラッキングデータを公開するようになりました。

残念ながら J1 だけなので、J2 の時のアビスパのデータがありません。

よってどれだけ昨年 アビスパが J2 の試合で走っていたかは不明です。

しかし、今年からは J1 ですのでトラッキングデータが見れるようになりました。

以下は www.jleague.jp で見れるチーム平均走行距離のです。

【トラッキングデータ走行距離ランキング(チーム平均):http://www.jleague.jp/stats/distance.html
j1-tracking-data

アビスパ福岡、思ったほど走ってないんですね。

J1 の中でも案外下の方です。

ちなみに、スプリント数のチーム別平均数はこちら。

【トラッキングデータスプリント回数ランキング(チーム平均):http://www.jleague.jp/stats/sprint.html
j1-sprint-data

平均よりちょっと上くらいといった感じです。

ダントツで走っているとは思っていませんでしたが、予想以上に走ってないんだなと。

アビスパの守備は、基本リトリート。かつ、ゾーンディフェンスなので「待ち」の守備。

前線から積極的にプレスするスタイルでもないです。

かつ、J1 では押し込まれ続けるシーンも多いので、反転攻撃でスプリントする機会も少ない。

というのが、この走行距離にでているのかなと。

スプリントがやや多いのは、金森、亀川、城後といったところが攻撃時に裏を狙ったり、オーバーラップしていたりしているのが反映されているかも。

守備では末吉や、城後が攻撃から帰陣する際などスプリントしているイメージでしょうか。

そういったところが特徴としてでているのかなという印象です。

4 – 4 – 2 になると、「走る量」が変わるのではないか?

個人的には、この「走ること」についての数字は 4 – 4 – 2 になると「増える」と思っていました。

もちろん、劇的に増えるとも思ってはいないんですが。

「そう言われてみたら、増えてるかもねー」というくらいには増えるかなと。

リトリートしていた守備が、前線で 2 枚の FW がプレスするし、最終ラインも高くなればラインを上げ下げすることも増えるだろうし。

最終ラインでかける人数が減る分、左右のスライドもあるかもしれないし。

高いラインで勝負できれば、カウンターで人数もかけられるだろう、等など。

と、思っていたんですが・・・。

【第 9 節】祝リーグ戦初勝利!まずは一安心。とはいえ、アビスパ福岡に残る課題を考えてみる
なにはともあれ、祝リーグ戦初勝利! 心臓に悪いシーンもありましたが・・・。 なんとか勝利できた FC 東京戦。 終...

とはいえ、FC 東京戦で感じていたのは、システム的には違えど、3 – 4 – 2 – 1と基本的なところは同じではないかと。

井原監督、城後がインタビューで「守備で前から行ける」というような発言をしていましたが、劇的に前に守備のポイントを持ってきているわけでもなさそうです。

そう考えると、自分が考えていたように 4 – 4 – 2 だからといって「走る量」が増える。

と言うこともなさそうです。

以下、Football Labo のデータを参照させて頂いてます。

【 アビスパ福岡 2016シーズンサマリー:http://www.football-lab.jp/fuku/

走行距離(対戦チーム別)

avispa-run-team

スプリント数(対戦チーム別)

avispa-sprint-team

4 – 4 – 2 で戦ったのは、磐田戦、FC 東京戦、大宮戦、仙台戦。

対戦相手にもよるし、少ないサンプルですのであくまで参考なのですが、4 – 4 – 2 だからといって、3 – 4 – 2 – 1と比較して走行距離、スプリントの数字に顕著な変化はないようです。

FC 東京戦で感じたように、4 – 4 – 2 が「走る」ことに対して、現状は大きな変化を与えるような変更ではないみたいです。

「J2」の頃、ハードワークを選手が口にしていた事を考えると、これは正直ちょっと拍子抜けです。

後に確か田村が、「ハードワークがあたりまえになり、あえてハードワークと言うことも減った」というインタビューを見かけたのですが、現状あまり走っていない。といういのは、ちょっと残念です。

ブンデスリーガでは、走行距離が多いほうが、少ないチームより勝利する確率は高いという傾向があると聞いたこともありますが。

J1 では、案外上位チームが「省エネ」で、昨年広島は走行距離もスプリント数も J1 の平均以下で優勝しています。

今季は、湘南の運動量が際立っていますが・・・。

残念ながら、成果にはつながっていません。

日本では、単純に「走る」ことと「勝利」に関して相関関係を見出すことは難しそうです。

上の「走行距離」の数値を見る限り、アビスパ福岡においても「長い距離走る」から勝ちに結びついているわけではないです。

仙台戦は、過去最長に走ってますけど、多分、今シーズン一番悪い負け方でしょう。

しかし、アビスパにおいてはスプリントに関しては、なんとなく多ければ、引き分け、勝ちをとれているような傾向ありますが・・・。

走行距離&スプリントに関しては相関が無いわけでもない?

アビスパ福岡に関しては、「対戦相手との比較」という軸で見ると、「走ること」と「勝利」に相関関係がない訳でもないようです。

上記の数値を、「対戦チームとの比較」で見てみます。

【走行距離(対戦チーム別比較)】

avispa-run-team2

まあ、平均での比較でも下の方なので当たり前ですが、相手より走行距離が少ないです。

ただ、相手と比較して走行距離が少ない試合はたいてい負けています。

唯一、磐田戦が当てはまりませんが、ある程度相手と同等か、それ以上は走らないと「勝点」を勝とれていない傾向がありそうです。

スプリント数(対戦チーム別比較)

avispa-sprint-team2

スプリントに関しては、走行距離より強い相関関係があるかもしれません。

勝点を取れている試合はスプリント数が相手より多いんですね。

逆に同等か、それ以下だと敗戦している傾向にあります。

これまた 10 試合程度のサンプルではあるものの、アビスパの戦い方の特徴が現れているのかもしれません。

J リーグが「スプリント」といっているのは「時速 24 km 以上の走り」だそうです。

これは、50m を走ると、7.5 秒で走るスピードだとか。

アビスパ福岡のスプリント数を選手別にかつ試合ごとに算出している情報が見つからなかったため、試合ごとに誰がどういう風にスプリントしているのかは残念がら不明。

もちろん、スプリント自体も守備のためのスプリントなのか、攻撃のためのスプリントなのかもここからは判りません。

よって、完全な想像ではあるんですが。

アビスパの戦いぶりを見るに、スプリント数が多そうなのは守備よりは攻撃。

攻撃時には、城後、金森、亀川、末吉、鈴木惇といったところは比較的多くスプリントしているように思えます。

あと、局面によっては、中村北斗でしょうか。

大宮、仙台戦に中村北斗がいれば、また違った試合になったかもしれません。

現状、實藤、キム・ヒョヌンでは埋めきれないものがあるように思います。

そう考えると、仮説としては「いかに攻撃時に選手がしっかりスプリントできるか」がアビスパの試合展開の重要な要素のひとつ。

と、見ることができそうです。

ちゃんと守って、前の選手がすぐ攻撃に転ずる

という展開が見えてきそうです。

この時、攻撃陣含め守備に追われてしまうと前にスプリントもできないし、効果的な攻撃もままならず。

ジリ貧で、失点。

というこれまでのアビスパの姿とも重なるところがありそうです。

ベガルタ仙台戦に話を戻しますが・・・

この日、4 – 4 – 2 で試合を行ったわけですが、そのコンセプト的なところはそう悪くなかったと思います。

ただ、選手がしっかりと、「走る」ということができていたのか。

上記の数値を見ると、仙台戦の走行距離はこれまでで一番走っています。

しかし、仙台に比べ全然スプリントできていません。

最初の失点の直前シーンもそうですが、後半フレッシュな選手を前線に投入したものの、人数かけて反撃できたのか。

どんなチームより、長い距離を走れ。

とは思いませんが、局面、局面でしっかりと考えてベストなパフォーマンスを発揮できたのか?

という点においては、甘かったんじゃないかなーと。

チームが危険なときは、全力で戻るし、激しく当たる。

チャンスと見れば、これまた全力で走って、激しく当たる。

そこを妥協なくこなせることが「インテンシティ(激しさ・強固さ)」の意味だと思っています。

そういった面で、この試合ではアビスパには「インテンシティ」が足りなかったんじゃなかろうかと。

だからこそアビスパファンに取っては、非常に不満の多い試合だったとも言えそうです。

目の前の敵と戦えていなかった。

という結果なのかもしれません。

アビスパの理想はアトレティコ・マドリード?

井原監督が就任した当初理想のチームは「アトレティコ・マドリード」だと言っていました。

具体的にどの辺が理想なのかは判りません。

現状の 4 – 4 – 2 でいえば、アトレティコ・マドリードの方が湘南ベルマーレより近いでしょう。

とはいえ、 4 – 4 – 2 だろうが、3 – 4 – 2 – 1 だろうが、アトレティコに学ぶところは、「激しさ」なのではないでしょうか。

相手のチームに走り負けない、球際に負けない強さ。

が、アトレティコの特徴なんじゃないかなと。

先日のチャンピオンズリーグの準決勝でアトレティコに敗戦したバイエルン・ミュンヘンのグアルディオラ監督監督も

【ZONE WEB】
名将ペップの悔恨「球際で一度も勝てなかった」 鉄壁アトレチコ相手の“出遅れ”に嘆き節

と、アトレティコの球際での勝負に勝てない時間帯があった事を敗因に挙げています。

仙台戦に関しては、そんなアトレティコのような「激しさ」を感じたファンはあまり居なかったんじゃないでしょうか。

過去一番走ったはずなんですけどね。

FC 東京戦、ジュビロ磐田戦にあって大宮アルディージャ戦、ベガルタ仙台戦でなかったものは?

4 – 4 – 2 で戦った試合において、相手とのスプリントの数は大きく違います。

ジュビロ戦、FC 東京戦にあって、大宮アルディージャ戦、ベガルタ仙台戦でなかったものってなんでしょう?

相手チームが違うので単純には比較できませんが、やはり「インテンシティ」の部分が足らなかったんじゃないでしょうか。

「もっと激しくやれ!」

という話しなのかというとそうではなく。

「もっと考えて動け!」

ということな気もします。

4 – 4 – 2 で前目に行けるようになった事は事実でしょう。

ただ、この 2 戦アビスパはスプリント数で大きく相手に負けてしまっています。

コンディション的に走れなかった側面もあるかもしれませんが、

「狙った形をつくらせてもらえなかった」

という面もあるように思います。守備面でも、攻撃面でも。

アビスパの良さを消してくる相手に対してどうしたら、打ち勝てるのか。

そういった点では 4 – 4 – 2 のやり方は思った以上にまだ未完なのでしょう。

ボールを奪うまでもそうですが、そこからの展開にバリエーションないというのも課題。

【日刊スポーツ】
井原福岡、ビリ脱出作戦「残留のため湘南をたたく」

特に具体的になにか作戦が書いてあるわけでもないんですが、ここは井原監督の仕切り直しに期待するしかありません。

相手は、今もっとも J1 で走る湘南ベルマーレ。

順位的には近いですが、アビスパ福岡が「インテンシティ」をもう一度証明するには十分すぎる相手ではないでしょうか。

ベガルタ仙台戦でもなかなか正念場の試合でしたが、いよいよもって正念場。

もう一度戦える集団であることをぜひ証明して欲しいです。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする

スポンサーリンク