アビスパ福岡とサンフレッチェ広島の共通点。日本の目指すサッカースタイルとは?

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守備を制するチームが J リーグで成功する?

J リーグを観戦するにあたってずっと気になっていたことが。

それは、「J リーグを勝ち抜くために必要なことってなに?

ということ。

もちろん、様々な要素はあると思います。

戦術の浸透、組織としての成熟。

そもそもお金があって「優秀な人材」を集められることも重要だとは思います。

ただ、「戦い方のトレンド」ってないのかな?

というのは常々気になっていました。

ちょっと古い認識かもしれませんが、イタリアなら守備優先。

プレミアなら、肉弾戦。

みたいな特徴みたいなものですね。

J が始まって 20 年過ぎたんで多少なり特徴あっても良くないかなという半ば希望的な観測含めそういったものは無いのかなと。

それについてはもう、5 年も前の話にヒントのようなものを感じていたりします。

日本代表監督や、コンサドーレ札幌や横浜 F マリノスで監督を務めた岡田監督の講演です。

【2009年 12月11日 早稲田大学での講演】
岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは

コンサドーレでは J2 を優勝。

横浜 F マリノスでは J1 を 2 連覇。

日本代表監督でも W 杯初出場、そしてベスト 16 に貢献した実績は日本人監督の中でもダントツと言ってもよい岡田監督。

哲学を持っていそうです。

その岡田監督がこの記事の冒頭で話す J リーグでおける守備の話。

岡田監督曰く、

サッカートップレベルにおける失点はセットプレーからが 40 %

ゴールキーパーなどのしょうもないミスから 10 %

ボールを後ろからつながれての失点 15 %(日本では 10 % を切るらしい)。

残り 40 % はカウンターからの失点。

なのだとか(当時)。

つまり、カウンターとセットプレーからの失点を改善すれば失点が圧倒的に減る。と、いう理論が岡田監督の理論。

また、攻撃においても守備の厚い中央ではなくカウンターを受けにくい、サイド攻撃の重要性を挙げています。

話の主題は、そうした「勝ち方」を徹底することで選手が「何も考えなくなる」という指導者としてのジレンマから、岡田監督の W杯への苦悩やらチームとしての一体感の重要性が語られるのですが・・・。

とてもためになるお話なのでまだ読まれたことが無い方はぜひオススメです。

ただ、個人的にこの記事を読んで思ったのは、サッカーって案外問題点がはっきりしてるんだな。

そして、「案外、シンプルなことでチームって強くなるんだ」。

といった感想。

実際、現場でやるとなれば、もっといろんな事があると思うのでシンプルではないと思いますが。

失点を防ごうと思ったら、どういった形でよく失点しているのか。

失点をどうしたら防げるのか。統計をとって、対策を取る。

という考え方は非常にシンプルだし、素人目には非常に有効に感じてしまいます。

プロからすれば、それを理屈通り構築できたら苦労はないよ。と、いう話なんかもしれませんが。

J リーグは堅守かつ、セットプレー、カウンターのチームが強い?

岡田監督の言葉から推測するに、J で強いチームを作るならカウンターを喰らわない「守備優先」。

セットプレーを弾き返せる「堅守」。

逆に、セットプレーを決める「勝負強さ」。

カウンターで訪れるチャンスを決める「決定力」。

これを備えたチームが強いという仮説は立ちそうです。

もう5,6年前の記事かつ、岡田監督が率いるマリノスが J リーグを制したのは 10 年も前ですので、今とは状況も違うのか?

そう考えたいのですが、現状の J リーグを観ていると、決してこの考えは古いとは言えないようです。

2015 年シーズンの J リーグを制したサンフレッチェ広島はこの仮説に一致するところが多いチームに思えます。

今年だけではなく、この 4 年で 3 回 J を制しているサンフレッチェ広島(2014年はシーズン 8 位)。

普段 アビスパ福岡の試合ばかり観ていますが、さて、J1 ナンバーワンのチームはどういった戦いをするのだろう?

普段は見る機会がないサンフレッチェ広島の戦いを見てみると、アビスパ福岡と通じるものがあるような・・・。

サンフレッチェ広島の戦い方とは?

では、サンフレッチェ広島の戦い方ってどんなものなのか?

今回、先日のチャンピオンシップ決勝 ガンバ大阪との第 1 戦と、クラブワールドカップ予選「オークランドシティ戦」。

そして、アフリカ大陸王者「マゼンベ」との試合を観戦しました。

一年通してみているわけではないのですが、ここから判ってくるサンフレッチェ広島の戦い方は・・・。

「堅守」と「サイドアタック」。

岡田監督の話と一致します。

守備はまずブロックの形成から。

一応、表記上サンフレッチェ広島の最終ラインは 3 バックです。

主に 3 – 4 – 2 – 1 が基本システムのように見えます。

こちらはチャンピオンシップ第一戦のフォーメーション。

2015championship-2nd-sanfform

しかし、実際は状況によって変動するシステム。

試合中はこの形になるのは、守備から攻撃に切り替わる際に一瞬あるくらい。

実際ほとんどありません。

守備の時はウィングバックが下がって 5 バックのような状況になります。

5 – 4 – 1 のフォーメーション。

ただ、攻撃時は実質、4 – 1 – 4 – 1 のような形になります。

トップの佐藤寿人が、結構下がってくるので、4 – 1 – 5と見ることもできるかもです。

クラブワールドカップのマゼンベ戦では実況で「3 – 6 – 1」と表現されていましたが、実際試合中にその形にはほとんどなりません。

形式てきには表現しにく戦術といえます。

ペトロビッチが残した遺産

この戦術の基礎はサンフレッチェ広島前任の監督であるペトロビッチ(現浦和レッズ監督)が構築したものです。

現在のサンフレッチェ広島監督である森保監督もこの戦い方を継承し、そこに森保監督なりのやり方を加えて今の形になっているようです。

実際守備を見てみると、最終ラインの 3 バックに上記フォーメーションだと、ミキッチ、清水が下がって 5 枚。

シャドーの位置にいるドウグラスが右サイドへ。

左には柴崎が入って、ボランチの 2 人と 4 枚の壁を作ります。

守備でボールを奪い、ビルドアップを開始するところで、最終ラインが 4 に変化します。

中央に千葉をのこし、サイドの佐々木、塩谷は大きく外へ開きます。

そして、開いた千葉と佐々木の間にボランチの森崎が入ってビルドアップします。

sanf-buildup

最終ライン 4 枚の前に青山が入るという 4 – 1 の形ですね。

この形からビルドアップするのがサンフレチェの攻め方です。

クラブワールドカップ 2 戦目のマゼンベ戦では低い位置のパス交換から相手の高いプレスを突破し一気にカウンターにつなぐシーンが多く見られました。

サンフレッチェ広島はポゼッションサッカーながらカウンターサッカー?

クラブワールドカップにて、対戦相手の監督がサンフレッチェ広島の特徴に「カウンター攻撃」として取りあえげられ事がいくつかありました。

【オークランドシティ トリブリエチ監督】
オークランド指揮官が広島のカウンター攻撃を警戒

【マゼンベ カルトロン監督】
厳しい戦いを予想するマゼンベ指揮官…広島は「日本の特徴持ったチーム」

この記事だけをみると、サンフレッチェ広島ってカウンターサッカーなの?

と思ってしまいますが、チャンピオンシップのガンバ大阪戦をみれば決して「カウンター主体」のチームではありません。

サンフレッチェはボールを奪うと、パスをつないでビルドアップします。

それがゴール前であっても「パスを繋げる」。と、確信すればクリアせずボールを保持します。

サンフレッチェ広島のサッカーはビルドアップをしっかりする「ポゼッション」を考えたサッカーです。

ただ、その際に状況によっては鋭いカウンターを仕掛けます。

マゼンベ戦で前がかりのプレスをかける相手をかわして攻撃を構築し、早い展開へ持ち込むシーンが何度かありましたが非常にレベルが高かったと思います。

実際いまのサッカーは単純に「ポゼッションサッカー」対「カウンターサッカー」という構図はちょっとナンセンスでしょう。

2014 年 ワールドカップを制したドイツ代表もポゼッションサッカーを展開していますが、その狙いは「カウンター」。

【日経新聞】
「円」から「六角形」へ ドイツ、戦術進化でW杯頂点

サンフレッチェ広島はブロックを形成した上で、固い守備で守る。

ボールを奪った後、チャンスと見ればスピードのあるサイドやシャドーストライカーの動きでゴール前まで一気に侵入してゴールを奪う。

いわゆる「ショートカウンター」ですね。

カウンターができなければ、しっかりと保持しサイドにボールを展開。

ボールを動かしながら、サイドで一対一をつくると、勝負を仕掛ける。

というスタイルです。

状況に合わせたプレーを選択してきます。いわば「バランス型」。

2015年のポゼッション率は、J1 でほぼ真ん中の 8 位。支配率は 50 % 。

この数字は、広島のスタイルをよく表していると言えるかもしれません。

サンフレッチェ広島のセットプレー

また、クラブワールドカップでは、セットプレーの攻守において質の高さを見せました。

オークランドシティ戦で見せた先制点のショートコーナー。

マゼンベ戦で見せたニアに低いボールを入れて、ゴール前に入れるパターン。

上背のないサンフレッチェ広島。セットプレーには工夫を入れてきていると思いきや、高いボールで高さ勝負をしてきたり(マゼンベ戦2点目)と、多彩な攻めを状況に合わせて繰り出してきます。

これは「セットプレーとカウンターから得点のほとんどが生まれる」近年のサッカーのセオリーをしっかりと踏襲していると言えます。

ただ、J の試合では、今シーズンセットプレーからの得点は 10 点しかないんですね・・・。

【参照 Football Labo】

フットボールラボ(Football LAB)はサッカーをデータで分析し、データから見るサッカーという新しいサッカーの観戦方法を伝えるサッカー情報サイトです。サッカー選手やJリーグのチームを独自データから評価するチャンスビルディングポイント(CBポイント、CBP)を新たに開発し、サッカーに新しい視点を提供するとともに、コ...

最も J リーグで得点を獲ったチームながら、セットプレーからはほとんど点を取っていないんですね。

全体の 13 % しかない。

しかし、驚異的なのは「セットプレーからの失点」の少なさ。

セットプレーから 9 失点しかしていない。

実際、クラブワールドカップのマゼンベ戦では体格で勝る相手に 10 本(広島 3)のコーナーキックを与えていますが、すべて弾き返しました。

セットプレーからの得点はほとんど期待できないのが、サンフレッチェ広島の特徴と言えます。

近代サッカーの失点の要因と言える「セットプレー」をしっかりと抑えているというわけえです。

得点源はクロスとカウンター

セットプレーからの得点が少ないとはいえ、2015年シーズン J1 で最も得点したチームがサンフレッチェ広島。

そんな、サンフレッチェ広島の得点源は何かというと「クロス」。

チーム内のアシスト王はミキッチ。9アシスト。

サンフレッチェ広島の攻撃におけるサイドアタックの重要性がわかります。

クロスのゴール数は全ゴール数のうちおよそ 20 % をクロスから奪っています。

またショートパスからのゴールも多く全体のおよそ 25 % が、ショートパスから獲ったゴール。

カウンターでのゴールという数値が無いのですが。

広島のプレースタイルから見るとここの数値には「ビルドアップから奪ったゴール」と「カウンター」での得点が多く含まれていると考えられそうです。

【参照 Football Labo】

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サンフレッチェ広島は岡田監督の話を含め、統計的に重要な点をしっかり抑えたチームと言えます。

似ていない?むしろ真逆のチームアビスパ福岡との共通点

J1 王者のサンフレッチェ広島。

一方で、J2 3位で J1 復帰を果たしたアビスパ福岡。

チーム力を比較するには、大きな差があります。

まして、アビスパ福岡には「ペトロビッチ式」のフォーメーションなど知る由もなく。

実際試合では、ボールを奪ってもロングボールが多く、J2 でもボール保持率は下から数えた方が早いアビスパ福岡。

ポゼッションサッカーのサンフレッチェ広島とは真逆のスタイルのサッカーを展開しています。

サンフレッチェ広島とは似ているところはほとんど無いアビスパ福岡。

しかし、この 2 チームは岡田監督の言葉を通してみると同じような共通点があることに気が付きます。

アビスパ福岡の躍進を支えたのは守備

2014年シーズン、アビスパ福岡は J2で 16 位に低迷。

失点 60 は J2 の中でも 4 番目に多い数字。

明らかに守備に問題を抱えていました。

井原監督の体制になって着手したのは守備の改革。

前任のプシュニク体制では非常に高い位置からの守備を特徴としていましたが、全く機能せず。

2015年のアビスパ福岡はその守備を「リトリート」して守る形へと変えました。

アビスパの基本戦術は、3 – 4 – 2 – 1。

4 バックを併用していますが、2015年シーズンは、3 バックの試合が圧倒的に多かったです。

シーズン終盤は、左から 堤、濱田、田村 を並べる形がハマり、セレッソ大阪とのプレーオフまでこの形を継続しました。

実際、守備の段階ではウィングバックが下がって、最終ラインは 5 枚。

シャドーの位置で表記される事の多い城後と酒井(金森)ですが、こちらも守備時にはサイドまで広がりボランチ 2 人とあわせ、4 枚の壁を形成します。

5 – 4 – 1 の形になります。

この守備ブロック形成はサンフレッチェ広島と近いものがありますが、「守備重視」というのは両チームに共通したスタイルです。

攻撃に関しては、中盤を省略する「ロングボール」が多くなるアビスパ福岡。

プレーオフ決勝のセレッソ戦でもボールを奪ったら、すぐにサイドの裏へ放り込むか、中央のウェリントンに当てるか。

というロングボールに頼るシーンが多かったです。

サンフレッチェが「ポゼッション」なら明らかにアビスパ福岡は「カウンター」主体のチームと言えます。

アビスパ福岡がシーズン中取り組んでいたのは、サイドアタック

シーズン開幕直後、チームとしてまだ未完成だったアビスパ福岡。

チームとして「積み上げ」を作り上げていく中で再優先事項は守備の構築でした。

その結果、攻撃は単調なロングボールが主体になりました。

実際、そのロングボールでもある程度なんとか形になってしまうのが J2。

ウェリントンが不在のシーズン前半戦は、このロングボール戦術を中原貴之が体を張って体現。

そして、ウェリントンが加入してからは圧倒的なフィジカルでウェリントンへのボールは相手チームの脅威となりました。

今年のアビスパ福岡を語る上でどうしても、「ウェリントンへのロングボール」はどうしてもクローズアップされます。

サンフレッチェ広島のようなビルドアップとは全く違う戦術。

しかし、シーズンを通してアビスパはロングボールだけでなく、サイドアタックを構築します。

ゴール前のボールはとにかくクリア。だったアビスパの守備が徐々にゴール付近でも「キープ」する意識が高まり始めます。

その結果、シーズン終盤にはある程度確立されたサイドアタックが見られました。

フィジカルの強い酒井。もしくは、ボールキープができる金森が基点となることで、亀川や鈴木惇が上がるスペースを作り、アビスパのビルドアップと攻めの形を構築しました。

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逆に時間がかかったのが右サイド。

最終的には、田村が右のセンターバックに入ることでこの問題は解決します。

田村は守備の貢献でもそうですが、右サイドの攻撃でも大きく貢献しました。

比較的早い段階で形になりつつあった左サイドアタック。

しかし、一方で右サイドは中村北斗が孤立することも多く、左に寄せてからのサイドチェンジの時しか機能しないような状態でした。

ところがシーズン途中からセンターバックとして定着した田村がこの状況を変えます。

学生時代ボランチだった田村は安定したドリブルに、長短で正確なパスを捌くことができました。

その結果、高い位置でもプレー。

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スペースがあると見れば、ドリブルで上がってきて、中村北斗にパスをあずけ自分はさらにオーバーラップ。

前線の城後や、ボランチの末吉などを含め右で安定したビルドアップができるようになりました。

その際守備に関しては、濱田が右にスライドしてフォローしたり、末吉が戻ると行った形でリスクヘッジ。

というのが、終盤戦よく見た形です。

終盤戦で井原監督が 3 バックで田村を右に配置し続けた理由はここにあるように思います。

それまで右でなかなかビルドアップできませんでしたから・・・。

シーズン終盤中村北斗の調子が上がっていったように見えますが、もちろん本人の体調もあるかもしれません。

しかし、実際は後ろに田村というボールの供給源ができたことが大きいと思われます。

こうして、アビスパは徐々に試合を安定したものにしていきます。

ほとんどクリア、ロングボールしか選択肢がなかった守備からの展開を、しっかりビルドアップしてサイドアタックへつなげる。

という形が構築出来ました。

ロングボールで前線に当ててのカウンターという攻めから、奪ったらパスを回して相手の裏へボールを通すカウンターへ徐々に変わっていきました。

最終的に左サイドは、かならず 2 枚で仕掛けるパターンが定着したアビスパ福岡。

ジュビロ磐田に 2 – 0 勝利した試合などは典型的な例。

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亀川と、酒井の 2 枚で突破。

基本的にはシャドーの選手とウィングバックがサイドで仕掛け、中央にボランチが飛び込むというケースはアビスパ福岡の攻撃で多々見られました。

サンフレッチェ広島の場合は、シャドーの選手はウィングバックにボールを渡すとすぐゴール前に入るので一対一の局面ができやすい。

ここがアビスパ福岡とサンフレッチェ広島の違いと言えますが両チームとも「サイドアタック」というのはチームの大きな武器と言えます。

アビスパ福岡は、プレーオフ決勝戦のセレッソ大阪戦ではサイドを人数かけてケアされた結果、攻撃が滞りました。

【アビスパ福岡 J1 昇格!!】一本のカウンターに賭けた亀川、北斗のスプリントが生んだ終了間際の同点劇。
諦めることができない。それが今のアビスパ福岡 昨シーズンの終わり、正直このチームはどうなるのだろうと思いました。 2014年のシ...

サンフレッチェ広島の得点源はクロスにありましたが、アビスパ福岡がリーグ終盤の連勝や徐々に 1 – 0 の勝利だけでなく大量得点の試合を作れたのは左右のサイドアタックで形を作れたことが大きかったと思います。

ロングボールだけでは辛いですからね。

実際、酒井や金森のビルドアップや、中村北斗の攻撃参加は後半戦になって、見る回数が圧倒的に増えました。

しっかりサイドでゲームを作れる。

状況は違うものの、2015年 J1 を制したサンフレッチェ広島の強力なサイドアタック。

J2 でも低迷したアビスパ福岡が J1 復帰へ躍進した裏にはサイドアタックの強化があったとみると、「サイドアタック」は J リーグを戦う上で非常に重要なポイントと考えられます。

というよりも、世界的にサイドの攻防っていうのは重要視されていますから、J だけの特徴とはいえませんが。

セットプレーで結果を残したアビスパ福岡

サンフレッチェ広島のセットプレーにおける強みは「失点しないこと」。

しかし、アビスパ福岡は全くの逆。

セットプレーから点を取ることで、J2 で大きく躍進しました。

プシュニク時代からも、酒井やイ・グゥアンソンに身体能力に優れた城後など、ゴール前での迫力がありました。

そして、今シーズンは空中戦に強い中原貴之が加入。

さらにウェリントンや、DF の濱田などセットプレーで力を発揮するプレイヤーが増えました。

その結果、全体のゴールのうちおよそ 45% がセットプレーからの得点に。

【参照 Football Labo】

フットボールラボ(Football LAB)はサッカーをデータで分析し、データから見るサッカーという新しいサッカーの観戦方法を伝えるサッカー情報サイトです。サッカー選手やJリーグのチームを独自データから評価するチャンスビルディングポイント(CBポイント、CBP)を新たに開発し、サッカーに新しい視点を提供するとともに、コ...

サンフレッチェ広島とは全く逆ですが、「セットプレー」を強みにしたケースと言えます。

堅守速攻のアビスパ福岡

アビスパ福岡は「カウンター主体」のチームとなりました。

ボールを奪えば、前線にロングボール。

もしくは、少ない手数でサイドのスペースにボールを出し、選手を走らせるという形でカウンターを仕掛けました。

その結果、昨シーズンと比較しポゼッションが下がりました。

昨年は、J2 でも 6 位だったポゼッション率が今季一気に 19 位へ後退。

支配率も 平均 47% となりました。

明らかに「堅守速攻」タイプのチームになったといえます。

サンフレッチェと比較すると、少し古くさいスタイルかもしれませんが J2 においてジュビロ磐田やセレッソ大阪を次々とそのカウンターで撃破。

プレーオフ決勝もカウンターから、劇的な同点弾が生まれました。

【アビスパ福岡 J1 昇格!!】一本のカウンターに賭けた亀川、北斗のスプリントが生んだ終了間際の同点劇。
諦めることができない。それが今のアビスパ福岡 昨シーズンの終わり、正直このチームはどうなるのだろうと思いました。 2014年のシ...

カウンター主体のサッカーになることで躍進したと言えると思います。

守備のチームが J1 でも J2 でも成果を出している

サンフレッチェ広島は J1 を制しました。

アビスパは J2 では 3 位。

優勝したわけではないのですが、最下位から 途中 J2 独走と思われた首位の大宮アルディージャに勝点 4 のところまで迫りました。

後半の圧倒的強さは J2 でもずば抜けていました。

大宮、磐田、と比較しても遜色のない強さで、J1 復帰を果たしました。

そして、その躍進を支えたのは「守備」。そしてそこからの「カウンター」。

セットプレーでは真逆の対応ながら、その失点を最小にすることで成功したサンフレッチェ広島。

得点源としたアビスパ福岡。

両チーム共に岡田監督が 10 年も前に指摘した「サッカーの失点のほとんどは セットプレーとカウンター」。

この事実を自分たちの強みにして強くなっています。

井原監督は、守備を再構築することでアビスパ福岡を昨年の J2 16 位から大きく躍進させました。

森保監督はサンフレッチェ広島を J リーグの常勝軍団に育て上げました。

そして、この結果から思い出したのが、2009年のこの岡田監督の講演だったりします。

果たしてこのやり方は正しいのか

岡田監督はこの講演の中で「勝ち方」を教えた結果、考えない選手が出来上がってしまった。

と、嘆いています。

それは指導者として正しいのか。

確かに、選手の成長を促すはずの指導者としては、悩むところだと思います。

ただ、現状 J リーグを観ている側としては岡田監督の考え方は十分に有効な考え方に思えます。

J で勝つためには守備的でカウンターに磨きをかける事が重要なのでは?

というふうに感じます。

実際、サンフレッチェ広島が 4 年で 3 回も J リーグを制しているわけですから。

森保監督以前のペトロビッチ体制では、サンフレッチェ広島は中位からやや上のチームでした。

【pal-9999のサッカーレポート】
2015年、ポイチのサンフレッチェ広島のお話

それはこちらのブログで詳しく解説されています。

ペトロビッチ体制から、現状の森保体制になって何が変わったかというと、やはり「失点の数」。

pal-9999 さんの分析にも

ミシャ時代みたいに前がかりになってカウンターでやられるって事がほとんどなくなったんです。もともとミシャ式はCBのオーバーラップを使うので、前がかりになりやすいシステムなんですが、ポイチさんは、この部分には明確な線引きをしてます。「前がかりになってカウンターくらう攻撃はやらない」系の人です。

重ね重ねになりますが、「失点しないこと」はチームを強化する上で必須の条件と思われます。

井原体制のアビスパも前年から何が変わったかって、それはやはり「失点の数」。

サッカーは 1 点が入る期待値がその他のスポーツに比べても非常に低いスポーツです。

こうした話はこちらの書籍が詳しいです。

シンプルに考えて、失点しないチーム作りは重要だと思います。

言い換えると、「負けないサッカー」をすることが有効とも言えそうです。

批判された岡田監督のスタイル

アフリカ大会で 日本代表が ベスト 16 に入ったのは、もう2大会前。

W 杯直前に 4 – 1 -4 – 1 というカウンター主体のチームにした岡田監督。

大会では結果を残しましたが、その守備的なやり方には批判が出ました。

「世界で戦うためには、ゴール前にブロックを作っていてはダメだ!」

「パスサッカーを目指すべき!」

なんて論調が増えました。

そしてザッケローニ政権へ移っていくわけですが・・・。

過去、広島は ACL での戦績は芳しくない

実際、そうした守備重視の戦い方で「世界と戦えるのか?

J リーグで通用したとしても、「世界」は気になります。

最近は聞かなくなりましたが、3 バックを「世界的なスタンダードではない」。と、批判する向きもありました。

確かに J のチームがそろって 3 バック なんて時期もありましたが、最近では 4 バックも増えてきましたね。

4バックが良いか、3バックが良いのかは様々な見方もあるでしょうし、選手の特性あってこそのフォーメーションでもあると思うので一概に何が良いかは色々意見があると思います。

ただ、ゴール前に 3 人を配置する。というやり方は世界レベルの CB を排出できていない日本の環境を考えれば全然ありだとは思います。

そういう意味では、今回のクラブワールドカップでサンフレッチェ広島がどれほど戦えるのかというのは、面白いところだとは思います。

今年はアジアチャンピオンズリーグにも出場していなかったですしね。

実際、それ以前のアジアチャンピオンズリーグでの広島の戦績は 5 位が最高。

豊かな資金力で広州が圧倒的な力を持っていますが、なんだかんだアジアの中では負けられない日本。

アジアチャンピオンズリーグでも「優勝」が期待されるのが日本のクラブ。

そう考えると、最高 5 位というのは少し残念です。

正直、アジア、国際大会で結果が出ていないのも、サンフレッチェ広島のサッカーとも言えます。

アジア・チャンピオンズリーグは、「罰ゲーム」と呼ばれるくらいスケジュール的にも金銭的にもクラブの負担とは言われています。

もっと、日本の協会の協力体制も重要になってくると思われます。

国際試合で結果がでていないという観点で行けば「クラブワールドカップ」でどこまでサンフレチェ広島がやれるかというのは、注目したいと思います。

スケジュールの問題など、難しい面もありますが・・・。

今季広島が強かったのは、もしかたら「タイトなスケジュール」を回避できたという要因もあるかもしれません。

クラブワールドカップはここまでのサンフレッチェ広島は、順調に勝ち上がっています。

オークランドシティ戦では、試合開始直後は高い位置でプレスするシーンもあったんですが、コーナーキックから 1 点先制した後は、ハーフウェイラインの後ろに 10 人が構える布陣。

完全にブロックを形成。

この陣形にオークランドシティは前半、前にボールを運べませんでした。

前がかりにな相手に得意のカウンターも不発気味。

互いに、「決め手」に欠けたクラブワールドカップ初戦は「大凡戦」と評すメディアも。

大凡戦に手応えあり。サンフレッチェが求めるのは「結果のみ」

岡田監督の W 杯では守備的すぎるがために、「日本サッカーの退化」とすら言われました。

実際、サンフレッチェ広島のサッカーも「つまらない」と評されることも・・・。

まさに"堅実” 2年連続、Jリーグ連覇に輝いたサンフレッチェ広島の強さとは?

2013年シーズン中盤に、アルビレックス新潟の柳下正明監督が、「つまらないサッカーに負けた。」という発言で波紋を呼びました。

守備的なカウンター戦略は「つまらない」と言われてしまいます。

そりゃ、バルセロナのような華麗なパスサッカーが華やかなのは判るんですが。

クラブワールドカップの第 2 戦。

マゼンベは高い身体能力を活かした「個」の攻めでサンフレッチェ広島と対峙しました。

前半、マゼンベは押し込んだものの、サンフレッチェ広島の守備を崩すことはできず。

逆にセットプレーから 2 失点。

さらに徐々にマゼンベのスタイルに慣れはじめたサンフレッチェ広島に試合の主導権を握られ、前がかりになったところをカウンターから 3 失点。

個を組織で守りぬいて、相手の隙をついて一撃を叩き込むというのもサッカーの魅力だと思うんですけどね。

ボクシングで言うと、アウトボクシングみたいな感じでしょうか。

とはいえ、みんなそんなにサッカーに「打ち合い」を求めてるんですかね・・・。

現状クラブワールドカップでは、サンフレッチェ広島のサッカーが世界でも通用するところを見せました。

初戦のオークランド・シティはセミプロのチーム。

各国の代表クラスが所属するマゼンベを 3 – 0 で勝利できたことは非常に大きかったと思います。

ただ、本当の真価は次節、リーベル・プレートとの試合で試されることになるとは思いますが、非常に楽しみです。

日本はシンプルなカウンターサッカーを目指しても良いんじゃないか?

ザッケローニ時代に日本代表は「パスサッカー」「中央攻撃」を掲げて撃沈しました。

W 杯の敗戦の理由には体調面も指摘されていますが、クロスすらあげず、中央で攻撃しようとするサッカースタイルは完全に「データ無視」の自己満サッカーだったと批判されて仕方ないと思います。

勝つための戦略を徹底する。

サッカーの失点パターンがわかっているのならそうしない守備。

逆にそれを最大活用できる攻撃を考えることが、手段としては王道だと思います。

岡田監督の話であれ、今のサッカーは過去と比べると遥かにいろんな数値が取得できるようになっています。

日本の野球は緻密だと言われます。

野村監督の掲げる ID 野球なんてやり方も持て囃されました。

野球で言えば、「150Km? スピードがあったほうがいいけど、ピッチャーってそれだけじゃないよね」。

というように、「パスサッカー?そりゃできたに越したことは無いけど、それだけが手段じゃないよね」。

くらい、ちょっと現実的なところで成熟しても良いのかなとも思います。

実際、日本のリーグでは「守備的」「カウンター」を主体にするチームが成果を上げているわけですから。

エンターテイメントとしての一面

もちろん、スポーツは「エンターテイメント」としての一面も持っています。

勝利ばかりを追求して、エンターテイメント性が欠けてしまったら。

それはそれで問題です・・・。

「国内は華やか」。

「国際試合は結果」。

という意見もありますが、今年のアビスパ福岡の地元での扱いを見ていると「勝ってなんぼだよなー」。

と、思ってしまいます。

要はこれもバランスなんでしょうけどね・・・。

サンフレッチェ広島のサッカーは世界でどこまで行けるのか?

まだまだ世界での格付けは低い日本サッカー。

サンフレッチェ広島のサッカーは南米の名門「リーベル・プレート」にどこまで通用するんでしょうか。

一戦だけで何かが決まるわけではないですが、この一戦は日本のサッカーのスタイルを考える上でとても重要な一戦になりと個人的には思っています。

もちろん、戦術だけでなく「個のレベル」というのも重要だと思います。

しかし、日本もそろそろ「個のレベル」だけでなく「戦術理解度」「戦術への適正」で選手を選ぶ時代がそろそろ来ている気もするんですよね。

そういうことを見極める上でも結構重要な一戦になりそうです。

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コメント

  1. タカ派 より:

    もう試合が終わってだいぶたっちゃいましたがコメントを。

    代表に関しては難しいですね。
    アジアを勝ち残るサッカーとW杯本戦を勝ち残るサッカーが同じかといえば、まだそうはなりませんから。
    いろんなサッカーを使い分けるか、あるいはどこにでも通用するサッカーを身に着けるか……もっともどこにでも通用するサッカーをできるなんて国は世界でも数が少ないと思いますが。
    日本のサッカーはまだまだ始まって歴史が浅いです。我慢は日本人の国民性です。我慢しながら成長していければ、と思います。

    アビに関しては……選手の出入りはまだまだ全然見えてきませんね。特にレンタル三人組の動向は気になるところです。中でも流れから、というのであれば起点となる亀川はぜひとも残ってほしいところです。
    ノリはアビにきてキャリアハイを更新し続けている存在です。また、シーズンが進むごとにいろいろなポジションを覚えている姿が見て取れます。見ていてとても楽しみですし、期待させてくれる選手でもあります。
    航輔は……柏にとってはダイヤの原石ですからね。残留があるとすればレンタル延長でしょうが……交渉としては難しいケースでしょうね。GKというポジションは永太も退団ということもあり、補強・補充が必須ですからここはどうなるか、気になります。

    戦術はまあ、サンフレッチェのあのサッカーは一朝一夕ではできませんね。でも、カウンターでもいろいろなパターンがあると思います。基本的にはボールを前に送る方法、どこで他が上がる時間を作るかそれとも作らないか、そして、どのポジションが上がっているか。これで出来上がるんじゃないかと思います。
    ウチではボールを前に送るのはロングが多かったかな。それとボランチから左に流してカメ、ノリで持ち上がるのがよくあったと思います。(その場合はカメが左の深くで時間を作っていました)上がる時間はよく作っていたと思います。今年のアビのイメージとしてはアタッキングサードまでボールが持って行けたとき、攻め手としてゴール前に人数をとても多くかけられていたと思います。(去年はボールを持って行っても一人いるかいないか、っていう印象でした……)
    で、やっぱボールの出しどころですよね。そのパターンが多ければ相手も対応しづらくなりますから。一つはセカンドポストの導入。ノリなんかができるようになればお手軽でいいと思います。もう一つは北斗を使えるようになること。シーズン終盤戦、後半に北斗の周りにスペースが空くことが多かったので、それに気づけるようになって雑でもいいから流し込めるようになれば……あとは城後との国見コンビネーション(消費ガッツ90)で……。最後にもう一つは二列目でボールを受けられる選手を作るか、でしょうかね。前線でキープできる選手ってなかなかいないんですが、しいて言うなら今なら金森でしょうか。ですが、彼は周りを待たずに前に行くタイプですから。(笑)ついていけるのは韋駄天の亀川だけという。(笑)(とはいえ、それが完璧にはまってPO決勝のあの奇跡のゴールにつながったわけですが)とにかく前に運び込めれば今のアビなら人数をかけられす。点が取れるんです!いーんです!!というノリで。

    井原監督は今年の形を変えてくることはないでしょう。補強する方もしやすいと思います。POのおかげで補強戦線に出遅れたということで、一喜一憂……いや、それすらできていないほどリリース情報がありませんが、フロント陣の成果を期待して待ちましょう!

    でも、せめて契約更新情報くらい出して安心させてほしいと思います。

    あと、永太、所属先決まってよかったな!見返せるほどの活躍をしてくれ!

    • ざかしんく より:

      タカ派さん コメントありがとうございます。

      確かに2列目でボールの出し入れ出来る選手がいると、攻撃の形が全然変わりそうですよね。

      なんだか、報道では中村航輔のレイソル復帰確定や、韓国人 GK やベガルタの六反に声かけたとかいろんな情報流れてますね。

      その他の選手の契約情報もきになります。

      なかなか落ち着きませんが、しばらく公式サイトをリロードする日々が続きそうですね・・・。