残念ながらJ1昇格とはなりませんでしたが…
J1昇格をかけた名古屋グランパスとの大一番。
残念がらスコアレスドローということで、リーグ戦順位の上だった名古屋がJ1昇格の最後の椅子を持って行きました。
リーグ戦の順位的にも妥当ですし、正直アビスパ福岡の昇格は分が悪いとは予想していましたが…。
ファン心理としては、目の前に昇格のチャンスがあるのであればそりゃ、昇格して欲しいというのが本音です。
最終戦は非常に集中力も高く、「こういった試合をシーズン中、3回くらい多く出来ていたら結果もだいぶ違ったはずなのに…」。
と、思わなくも無いのですが…。
ただ、「ナイスゲーム」。で終わっていては試合ごとにアビスパ福岡のブログを書いている意味も無いだろうということで。
私自身が何かできるわけでもありませんが、来シーズンアビスパ福岡がJ2を制する為にも、「あえてし厳しい視点」でプレーオフ決勝名古屋戦と、今シーズンのアビスパ福岡を振り返って見たいと思います。
試合の入り方はアビスパ福岡が優位でしたが…
大一番の決戦で試合の入りで巧くペースを握ったのはアビスパ福岡だったと思います。巧くというよりは、名古屋のほうがやや受け身に回ったかなと。
引き分けでも昇格という事もあったと思いますが、まずは様子見という試合の入りをしたというのもあったように思います。
それとは逆で、試合の序盤からギアを挙げて入ってきたアビスパ福岡。リーグ戦の終盤で試合開始からいきなりギア全開で入ることが少なかったアビスパ福岡。
圧倒的な攻撃力を誇る名古屋に対して、複数得点が期待できないアビスパ福岡としては先制点を取られた場合圧倒的に不利です。
そう考えれば、序盤から前から積極的にプレスにきてもおかしくはないのかなと。
ただ、シーズン終盤の試合からはこういった試合の入り方はちょっと想像しにくかったように思います。
個人的にも「引く福岡、攻める名古屋」という形になるのかなと思っていました。
フォーメーションは「3-4-2-1」。
準決勝のヴェルディ戦と同じ布陣です。
ただ、ヴェルディ戦と違うのは序盤から積極的に三門が前へプレスして名古屋のビルドアップにプレッシャーをかけました。
リーグ序盤でも「4-2-3-1」で三門が前線からプレスすることで、名古屋戦でペースを握るシーンがありましたが、その形がこの決勝戦でも再現されたような形。
【三門のプレス:第19節名古屋戦】
様子を見ながら試合に入った名古屋はこのアビスパ福岡の立ち上がりを予想していなかったのかなとも感じます。
前半35分をすぎるまで名古屋は攻撃の形をなかなか作れなかったのはその影響だったと思います。
その分アビスパが試合の主導権を握ったのではないかと思います。
シーズン中こういった形が無かったわけではないですが。実際は、三門の単独プレスにになりがちかなと。
周りの連動が少なく、結果的に無意味なチェイシングになりがちだったように思います。
しかし、この試合では上記のシーンでもウェリントン、松田の守備の距離感も良かったように思います。
グアルディオラがプレスの基準とした「6秒ルール」ではないですが、三門の最初のプレスがも早かったですし、その後のプレスも早く前半は2人でプレスをかけるのに6秒以内で行けたシーンは多かったと思います。そのことがアビスパ福岡が試合開始から優位に試合を進められた要因だったように思います。
ほぼ捨て身とも言えるくらい前から行くシーンもありましたが、その意識が前線のプレスにおいては良い結果を出したように思います。
このプレスを支えたのは最終ラインからしっかり前と連動してコンパクトな陣形を取れたということもあると思います。
リーグ最少失点の守備は固いかもしれないがそれで十分なのか?
あえて問題提起してみたいと思うのですが。
アビスパ福岡はリーグ最少失点。守備の固いチームということなのは間違いないでしょう。
しかし、これで本当に良いのでしょうか?
それは守備的じゃなく、攻撃的でなくてはならない。という意味ではありません。
「守備においてはもっと上を目指すべきだろう」という意味です。
それは来季の補強ポイントにもつながっていくと思われるので、今回は指摘してみたいと思います。
中盤のフィルタリングと展開力のあるプレーヤーの不在
この試合では中央には、山瀬と三門が並んでいますが…。
山瀬はキャリアの中でもほとんどやったことのないポジションを良くこなしたと思いますが、じゃあベストかというとそれはないと思います。
三門も守備というよりは、運動量を活かして前に飛び出してこそ良さが出るプレーヤーだと思います(守備ではフィジカル的にもそう強くなく、相手のボール回しにぼんやりしていることもあれば、効率の悪いチェイシングでポジションを放棄することも。マリノスで出場機会を失っていましたが、欧州の監督には受けが悪いタイプだと思います)。
中盤の守備の要という意味では、退団してしまいましたがダニルソンが理想的だったんだと思います。そういった意味でウォン・ドゥジェはその「守備的なボランチ」のポジションを期待されてやってきたのだとは思います。
とはいえ、まだ若い選手ですし、今後の成長に期待したいところではありますが…。フィルター役としても、ボールを動かすにしてもダニルソンの方が上でした(ダニルソンがベストフォームだったことは殆ど無かったですけどね…)。
山瀬にしても、三門にしても、ウォンにしても展開力に乏しいところがあります。ウォンも若いとはいえ、タイプ的に展開力に期待できるかというとちょっと厳しいように思います。
レンタル中の鈴木惇は精度の高いキックがありますが、守備がかなり不安。田村もキック精度の高さはありますが、中盤の戦力として井原監督は考えていないように思います(以前井原監督のインタビューではっきりととクイックネスがないと言われていましたし)…。どこが適正かといえば、3バックにおけるのCBの一角でしょう。
井原監督は教育目的も含め多くの選手をボランチに入れて試していますが、なかなかベストの形を固めきれていないというのも実情だと思います。
場合によっては来シーズン再びボランチ(センターハーフ)の補強もあっても不思議じゃないと思われます。
就任当時も試合終了後、ボランチの鈴木惇、末吉と話すシーンをよくみました。
今でもキャプテンということもあるかと思いますが、三門と話すシーンも多く見かけます。
サッカーにおいて重要でないポジションはないとは思いますが、井原監督のサッカーの中でセンターハーフ、ボランチというのは非常に重要な役割を担うポジションだと感じています。
もしかしたら、この中盤に理想的な選手を配置できていない時点で井原監督の目指しているサッカーは既に路線変更を強いられている可能性もあるかもしれません。
稚拙な守備も散見される
あえて、稚拙と指摘したいのですが、こうした「大一番」となると出てくるのが、「強引かつ無意味なスライディングタックル」です。
ブラジルW杯でも日本代表がやるのだから、Jリーグでもなかなか無くならないとは思いますが…。海外と日本を比較してどうこう言うのはどうかなという思いがあるのですが。
このスライディングについては海外から比べて頻発するのが日本のサッカーだと思います。
ボール奪取できればいいですが、スライディングタックルで相手からボールを奪える確率ってそう高いようには思えません。
かわされて、相手をフリーにするケースが多い。悪い言い方をするなら、自分は頑張って守備に行ったという「アリバイ・ディフェンス」じゃないかとさえ思うこともあります。
このスライディングの意識は、是正した方が良いと思っています。
ここではルーズボール気味なボールに対して三門のプレーになるのですが。
相手の足元にボールが収まったにもかかわらず、相手のやや後ろからスライディングを仕掛けました。結局、スライディングは届かずかわされカウンターを招きます。
確かにチェックが遅れたので気持ちの部分ではわかるのですが、飛び込むのはどうかと…。結果的にあっさりかわされていますし。
山瀬も中盤の守備でスライディングしてファールをもらうシーンが何度かありました。フィフティ・フィフティのボールだったので、際どいシーンではあったので判断難しいですが…。
この試合名古屋の中盤にくらべ、アビスパの中盤がスライディングで飛び込むシーンが多かったように思います。
一概に全て悪いとはいえませんが、三門のケースのように、高い位置で中盤の選手が無謀にスライディングしてかわされるのは最悪です。
相手に広大なスペースを提供してしまいます。
ファールするにも相手に追いすがって少しでも自由を奪ったり、それで倒した方がマシです。スライディングは一か八かの最後の手段だと思います。一発でボールを奪取できればよいですが、かわされてしまえば自分は死に体で地面に転がるだけです。
結果、相手を自由にしてしまいます。特に中盤の底がこれをやってしまうと、DFの前に簡単に攻め込まれてしまいます。
かわされて、フリーにしてしまうことだけは避けるべきだと思うのですが…。
一方、逆に際どいボールでもしっかり走りこんで「立って」プレーしたのは名古屋の方だったように思います。
非常に細かい点ですが、「ムダなスライディングはしない」という戦略は名古屋のほうがしっかりとチームとしての矜持があったように思います。
そういったところを含め「ボールへのアプローチの仕方」という点では名古屋のほうがゲームを通して「合理的」と感じたシーンでした。
もちろん、リーグ戦を通して失点は名古屋のほうが多いのですが、この意識の差は大きいと感じています。
即効性は無いのかもしれませんが、J1で戦い抜くためには「合理性の追求」というのも必要だと感じています。
4-4-2がダメだとはいいたくないですが…
井原監督は基本的には3バック、4バックとフォーメーションを使い分けてきます。
シーズン後半は4-4-2が多ったものの、3バックの方が攻守共に安定していたように思います。
試合終盤、實藤がピッチに座り込んでしまうシーンがありました。離脱はてっきり手術の影響だと思っていたのですが、体調を崩した時期があったとのこと。
現状は大丈夫との事だったのですが、ちょっと心配です。
その後實藤に代わって、ウォン・ドゥジェが投入されるのですが…。このタイミングでアビスパは3バックから、4バックに変更したようにみえたのですが…。
ここから、名古屋のサイドアタックへの対応が悪くなります。
これは、2016年のJ1の時にもよく見かけたケースなのですが…。
サイドからの攻撃に対して、サイドバックの駒野と中盤の山瀬が守備に詰めるのですが。
ゴール前中央寄りにバックリとスペースを開けてしまいます。
その前にはぼんやりとジョグするウォン・ドゥジェの姿が…。
確かに将来有望な逸材だし、今後の成長が期待できそうなウォン・ドゥジェなのですが、こういうところが抜けてる気がしてならないのが正直なところです。
もちろん、冨安がスライドして詰めても良いんですが…。
結果的には、ボールが入ったタイミングでウォン・ドゥジェが慌ててチェックに来るのですが、もちろん後手です。
危ないシーンを招くことになります。
こういう「詰めの甘さ」をJ1で幾度となくやられたはずなんですが…。
ウォン・ドゥジェも代わって入ったばかりとはいえ、きっちり対応して欲しかったですし、冨安が詰めて、冨安が開けたスペースににウォン・ドゥジェが入るという形もあったはず。
この辺は守備の約束事などで対応が変わってきそうですが…。そもそもどこまでできていたんでしょうか。
かつて、アビスパ福岡をJ1へ引き上げた松田浩監督が「ディシプリン(規律)」という言葉をよく使っていた記憶がありますが…。
今のアビスパ福岡の守備にはディシプリンというよりは、5-4ないし、4-4のブロックをつくって冨安や岩下、堤、實藤が体を張るという「個の力で守る守備」に見えてしまうところです。
正直、この守備がJ1で通じるのかどうかはちょっと懐疑的です。
コンパクトな陣形でプレスという形は見えたようですが…
以上、ちょっと不安視している点をあげましたが、プレーオフ決勝の名古屋線での守備は評価する点もありました。
【福岡井原監督J1逃すも守備に「合格点」選手称える】
井原監督も合格点を出したとのことですが、確かに最終ラインの上げ下げは良かったと思います。
前回記事でもラインをコンパクトに保てるかどうかはポイントだと思っていたので。
【5バックでもいいから、陣形はコンパクトに】
前からの守備に行くと、どうも間延びしがちだったアビスパ福岡の守備だったんですが。皮肉にも岩下が不在となり、堤と冨安でCBを形成するようになって3バック、4バック共に改善したように思います。
岩下の場合、パスミスも多いのも気がかりではあるのですが、個人的にはスピードの無さと、プレーの切り替え(判断)の遅さの方が問題だと思っています。
特にラインを押し上げる動きと、判断の質で言えば堤のほうが上だと思っています。
逆に対人への対応は堤よりずっと上です。あと、守備に飛び出した選手をフォローしつつ、相手の隙を見てボールを奪いに行く動きは秀逸だと思っています。
単純にどちらがCBとして優れているとは言い切れないのですが、この試合に置いては堤が適正は高かったのかなと思っています。
2016年のJ1シーズンで堤はサンフレッチェ広島時代の佐藤寿人に揺さぶられて、ラインを破られたこともありましたが…。
【2016年J1対広島戦】
この時から比べると堤の動きは非常に良くなったように思います。
ただ、「シーズン最少失点」という結果と今季J2屈指の攻撃力を誇った名古屋をゼロで抑えこんだ守備を踏まえたとしても、「守備は良くなっているから、あとは攻撃をいかに強化するかだ」という考え方にはちょっと賛成しづらい。
守備は確実に積み上げされてはいますが、「守備のチームだ」というにはまだまだ隙は多いんじゃないかなと思っています。
J2で優勝を目指すのであれば、攻撃の強化もありますが。
「ボールをどこで奪って、どう攻撃につなげるのか?」
と、いうことをもう一度考えてもよいのかなと思います。そう考えた時中盤の補強はあるんじゃないかなと思っています。
井原監督は続投なのか?
そもそも誰が監督になるのかまだ判りませんが…。
前回記事では、「井原監督に投資する価値はある」としました。
井原監督にもアビスパは続投要請しているなんて話もあるような、ないような状況ですが…。
名古屋戦が終了し、J1昇格を逃した今も個人的には「井原監督の継続はあり」という考えに変わりはありません。
攻撃が課題とは言われていますが、むしろ、守備でもまだやり残したことあるんじゃないですか?と、思っているくらいです。
逆に守備で名古屋戦が理想的と思っているなら、解任したほうがいいでしょう。
井原監督がどういった基準で、「合格点」を出したのかわりませんが、名古屋戦の守備を「理想的だった」とは思っていないはず(というかそうじゃなきゃ困る)。
もちろん、攻撃に置いても何が足りなかったのかもちろん反省は必要でしょう。
それは「人」なのか、それとも「時間」なのか。はたまた別の問題なのか。
そのことを経営陣と井原監督やそれにカルロスも含めクラブ全体が共有できていること。
そして、今シーズンどうして課題が解決できなかったのか。
そのことがお互いに確認できているのであればという条件付きで継続はありだと思っています。
そこに共通理解がないのであれば、しっかり理解し合える監督を呼ぶべきでしょう(決して無いと思いたいですが、井原監督はまだ人気もあるし、来年も行けるでしょ?的な判断はないはず…)。
もしそうした課題が有耶無耶で、クラブとしての理解が不十分であるのなら、井原監督としても現状が限界なのかなということでしょう。
そうなのであれば、クラブとしてはしっかりとした決断をしてほしいなと思っています。
とはいえ、井原監督もまだ監督として3年目が終わったばかり。名古屋の風間監督のキャリアは1998年の桐蔭横浜大学サッカー部まで遡れば、監督になってもう20年になる監督です。
経験の差は歴然です。
単純に考えて、まだ井原監督共に成長することを諦めるのは早い気もしています。
ウェリントンの功罪
監督もそうですが、今後選手の去就も取り沙汰されてくると思います。
各選手それぞれに考えてみたい点ははるのですが。今回はそのなかでもウェリントンについて考えてみたいと思います。
すでに移籍が取り沙汰されているウェリントンですが…。
井原アビスパの攻撃の核としてチームを牽引してくれた中心選手です。アビスパ福岡に非常重要な存在です。
貢献度は高く、いなくなるとなればアビスパの攻撃力は間違いなく落ちると思いますし、場合によっては攻撃の仕方をもう一度考え直す必要があります。
また外国籍の選手ではありますが、日本、そして福岡の街を愛してくれた外国人選手だったと思います。
アビスパ福岡の歴代の外国籍の選手の中でも、愛されるべき選手だと思います。
しかし、個人的には来季は別の選手を獲得すべきだと考えています。
理由を2点挙げますと…。
- 選択肢の少ないプレースタイル
- 不安定なメンタリティ
ウェリントンの圧倒的なフィジカルは強力な武器です。そのフィジカルのおかげで何度アビスパ福岡は助けられたか判りません。
精度の低いロングボールでも体を張ってマイボールするプレーに、ビルドアップのままならない頃のアビスパ福岡がどれだけ助けられたか。
セットプレー、クロスのシーンでウェリントンが競り勝ってくれることで多くのチャンスとゴールをアビスパ福岡にもたらしてくれました。
それは讃えられてしかるべき「功績」です。
しかし、この日のシモビッチのプレーと比較してみると、ウェリントンのプレースタイルの選択肢の少なさは、アビスパ福岡の攻撃バリエーションの少なさに影響を与えていると見ています。
ターゲットマンではあるけど、ポストプレーヤーとしては…
ウェリントンの弱点は足元のプレーが弱いことだと思います。
フィジカルが圧倒的に強い割に、相手を背負ってのパスの精度がそんなに高くありません。名古屋のようなゴール前で細かなパスを繋ぐプレーはアビスパ福岡ではほとんどみられません。また、フリーランニングに優れているわけでもありません。
コンビネーションに関してはウェリントンだけの問題ではないかもしれませんが、密集地でウェリントンが足元にボールを受けて、パスをさばいて石津が前を向いてプレーする。
そんなシーンをシーズン前は思い描いたのですが、そんなシーンは結局ほとんどありませんでした(シーズン序盤には何度か試みていましたが、形になりませんでした)。
また、相手DFとの駆け引きも上手いとは言えず。
シモビッチの場合は、状況に合わせてポジショニングを細かく変えてきます。
ボールがサイドにあってクロスの可能性があるタイミングではDFの間に入り込みます。
パスが回って、中央へ入り込んでくると、素早くDFの前に体を入れて、ポストプレーができる体勢を取ります。
冨安を体で押さえ込みながら、ボールを確実にさばいて、田口のミドルシュートへつなげます。
アビスパも山瀬や、三門のミドルというのは武器としてあるとは思うのですが、ウェリントンがポストプレーから落としてシュートというのはあまりみたことはないと思います。
ウェリントンの場合、ゴール前でクロスの位置(ファー)に入るか、そうでない時は案外低い位置にいます(これはボールキープで中盤の低い地でプレーすることが多いこともあるかと)。
とはいえ、シモビッチのようなクロスにも対応できるし、ポストプレーにも入れるようなポジショニングをする動きはあまり見せません。
アビスパ福岡もそこは割りきっているのか、サイド攻撃からの最優先事項は「クロス」です。
松田がサイドで折り返してクロスを上げるシーンですが。
目の前にウェリントンがいて、その前を三門が駆け上がっています。
DFは三門を追わざる得ないので、ウェリントンの前が空きそうだったんですが。さすがにウェリントンがドリブルするほどの余裕はなかったと思いますが、松田からのパスをワンタッチで三門に出せればもうちょっと面白い展開になったと思います。
しかし、この時松田の選択肢にショートパスはなかったように見えました…。切り返したところからクロスを上げることだけを考えていたように思います。
とはいえ、仲川にクロスを入れても…。DFに付かれていては勝算はだいぶ薄いと思いますが…。
ウェリントンにショートパスを入れるという選択肢があれば、もっと違ったプレーになったシーンだったと個人的には感じたシーンでした。
ただ、チームとしてはその選択肢をほとんど取らない(取るケースもありますが、その形を積極的に狙っているとようには思えません)。
極端な見方かもですが、これってウェリントンはクロスのタイミングでファーに居ないと攻撃の選択肢として有効じゃない。というふうにも見える気がするんですよね…。
裏へ抜けても…
前半15分頃、松田のスルーパスにウェリントンが裏へ抜けたシーンがありましたが、ウェリントンはスピードがあるわけではありません。
DFもすぐに追いついたというか。ウェリントンはボールに触れる直前にスピードを落とします。一瞬DFを引きつけたように見えたので、
「チェンジ・オブ・ペースで抜ける気?」
と、思ったんですが…。ウェリントンは再び加速することなく、外の亀川へパス。
個人的には縦に勝負して欲しかったんですが…。ウェリントン自身、スピードと足元の技術に自身のない表れなのかなと。
FWなら、ペナルティエリア内で抜けだした形になったのなら、つっかけてでも勝負するべきシーンに見えたのですが、そうでもないのでしょうか…。
仮にこれが横浜FCのイバだったら相手のDFはもっと困った状況になっていたと思うんですけどね。
確かに圧倒的なフィジカルがあるものの、それ以外のプレーにおいてウェリントンの選択肢は非常に少ないと感じています。
これが攻撃の形が作れない原因とは言えませんが、要因ではあるのじゃないかなというのが個人的な見解です。
アビスパ福岡が攻撃のテコ入れをしたいと思うなら、ウェリントンを外すべき。そう考えています。
メンタル的にも…
非常にナーバスになりやすいのも弱点かと。
PK2度外して退場した試合もそうですが、チームの中心選手として「どうなの?」というプレー(というか態度)が多いです。
大相撲じゃないので、品格とか言う気はサラサラ無いのですが。
審判にアピールするのも良いと思うのですが、不満な判定があるとウェリントンはその直後のプレーで非常にわざとらしい倒れ方や、オーバーなリアクションを取ります。
もちろんすべてがそうだとは言いません…。また、それはウェリントンなりの抗議なのかもしれません。
ただ、それって審判からみて印象悪くなることはあっても、良くなることはないんじゃないのかなと。
その他にも、ちょっと稚拙だよなと思うアピールもしばしば…。
PK2度失敗して退場した試合の後、岩下はウェリントンに「堂々としてくれ」と言ったそうですが、ウェリントンはアビスパ福岡の中心選手ですし、それにふさわしい数字も残していると思います。
個人的にも堂々として欲しいんですが…。
試合中削られる事も多いでしょうし、相手からもダーティーなプレーを受けたり、理不尽なことも多いとは思います。
とはいえ、それは他の選手も同じ境遇でやっているわけで、ウェリントンだけがヤラれていることではありません。
場合によってはウェリントンのナーバスになりやすい性格を利用しようと他の選手以上に「ヤラれている」可能性もあるかもしれません。
しかし、それは自業自得であって、自分で首を締めているとも言えます。
その状況に対応できないとなると、やはりメンタル的に強いとは到底いえません。
個人的な経験で恐縮ですが、チームスポーツにおいてチームの中心選手がメンタル的にナーバスになるのはどう考えたって周りもやりづらい。
これはそっくりそのまま岩下にも言えることだったりするんですが。
「ネガティブな感情は伝染する」
というのはビジネスの場でもしばし指摘されます。
【ネガティブな感情は感染力が強い! だからこそ必要な自分の心を守る予防と対策】
真剣勝負の世界ですから、感情をむき出しでぶつかることも必要なのかもしれませんし、「怒り」を表現することも必要でしょう。
しかし、ウェリントンの場合は行き過ぎていて「ネガティブ」要素が強い気がしています。累積警告による出場停止など含めチームに与える影響は小さくないと思っています…。
シーズン中出場停止になる度に「反省したい」といったコメントがでてきますが…。2シーズン半改善がみられないところをみると…。
ウェリントンは「諸刃の剣」だと思います。強靭なフィジカルは確かに目を見張るものがありますが、その割に実はリターンが少ない。
来季J2の優勝を目指すなら、武器が諸刃の剣では危ういのかなと思います。
アビスパ福岡からウェリントンを追い出せと言う気はありませんが、アビスパ福岡が本気で攻撃に置いて新しい形を模索すのならば、
「ウェリントンとは違う可能性」を軸に据える覚悟は必要だと思います。
アビスパ福岡の攻めにアルゴリズムがあるなら
あんまり良い例えでもないのですが、他に表現方法もなく。
個人的には、アビスパ福岡の攻撃はアルゴリズムで表現するなら「AND」的なものなのかなと。
何じゃそりゃって話なんですが。
表にするとこんな感じです。
仮にゴールという結果を得るために2つの要素F1、F2が必要だった場合。
F1 | F2 | ゴール |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |
アビスパはこの要素が2つ(AND)ないとゴールに結び付けられない。
じゃあ、攻撃においてこの表を複数持つことが攻撃を強化する上での答えかというと、それは違うと思っています。
攻撃のバリエーションを増やすというのは、数じゃなくて「質を変えるべき」だと個人的には思っています。
つまり、今の表だけでも良いんです。ただ、「OR」にしないといけない。
F1 | F2 | ゴール |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 1 |
要素が1つでもあれば、ゴールに結びつけることのできる形を模索するべきだと考えています。
概念的かつ、個人的な肌感でしかないのですが、今シーズンの井原監督はこのANDの表をまずはなんとか構築しようとしていたのではないかと思います。
ブログでも「攻撃における設計図がない」と言ってきましたが。足りないのは「OR」にするための工夫だったように思います。
設計図は、この表の数ではなく、要素が出揃わなかったとしても、ゴールまで結びつける「工夫」だと思っているのですが…。
個人的にはこの「工夫」をこの先のアビスパに見出していけたら良いなと考えているところです。
もし井原監督が継続するなら。
ウェリントンがチームを去ってしまうとしたら…。
個人的には、同じようなフィジカルを活かした、ターゲットマンを連れてくるべきだと思います。ただ、その時はウェリントンが持っていなかった「足元」を持った選手を入れるべきだと思います。
場合によっては、これまた名古屋との比較ですがシャビエルのような狭いスペースで仕事の出来るタイプも必要かもしれませんが、このへんは来季の編成を見守りつつ、また記事にしていけたらと思います。
来季どうなるかはまだ判りませんが…
時間が経てば、徐々に来季の形も見えてくることでしょう。
もう一度J2でのスタートとなりますが、どんな形にせよ、今シーズンより良い形を見せてほしいなと願うばかりです。
情報が出揃ったら、また勝手な妄想をしてみたいと思います。
今シーズンも懲りずにブログを読んでくださった皆様ありがとうございました。
個人としては、今季は仕事とはいえ、長期間、それもアビスパが調子の悪いときにブログを更新できなかったことが非常に悔やまれます。
来季はしっかり全試合、レビューできたら良いなと思いつつとりあえず、2017年シーズンの記事としては最後としたいと思います。
来シーズンも何卒よろしくお願いいたします。