スコア以上にあったチーム力の差。いまだゾーンプレスに欠陥を抱えるアビスパ福岡に残留の活路はあるのか?2nd ステージ第 7 節大宮アルディージャ vs アビスパ福岡

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結果とは裏腹に確かにチームとしての改善点は徐々に良くなっているアビスパ福岡

アウェイの大宮アルディージャ戦にて、1 – 0 にて敗戦のアビスパ福岡。

試合後のインタビュー冒頭で井原監督は「やろうとしていることはできている」。

ということでしたが…。

一応、確かにこれは強がりでもなんでもなく、試合を見ていればそうなんだと思います。

とはいえ、ゾーンプレスという観点から細かく見ていくと、アビスパ福岡には組織的に動いてない意識付けされているとは思えないシーンも多々…。

もうジタバタしてもどうしようもないので、少し冷静にアビスパ福岡の今の戦術を見ていきたいと思います。

4 – 4 – 2 のゾーンプレス

この日の先発陣は以下の通り。

20160806-avispa

前節と同じ先発メンバーとなりました。

坂田の動き出しのアイディアや、運動量というのは非常に頼もしいところもありますし、前節得点も取ってるので、その勢いをそのまま持ってきたという感じでしょうか。

金森との連携も悪くないので、トラブルがなければしばらくは固定でしょうか。

この試合からベンチメンバーとしては、リオ五輪にトレーニングパートナーとして派遣されていた冨安が復帰。

この日の収穫としては、アビスパ福岡としては、冨安がホント伸びてきているなーという実感だったんじゃないでしょうか。

邦本がベンチ入りしていませんが、これは持病の腰があまり良くないんでしょうか。以前も腰の調子が良くなく遠征から外れるということがありましたが…。

そんなアビスパ福岡ですが、基本的な戦術は 4 – 4 – 2 のゾーンプレスです。

ただ、前節のベガルタ仙台戦ではいまいちこのフォーメーションとゾーンプレスの約束事が認識されているのか不明でした。

引き分けとはいえ、曖昧さがずーっとつきまとった試合でした。

この日の大宮アルディージャのサイド攻撃にたいして特に家長が気になるのか。

アビスパ福岡は序盤サイドをしっかりと閉じてコンパクトに守備陣形を構えていました。

前節のベガルタ仙台戦では不安点ばかりをあげていたんですが、実は以前より改善されていたのが「中盤と最終ラインの距離」。

1st ステージの後半、アビスパの 4 – 4 – 2 は中盤と最終ラインがポカっと空くことが多かったです。

しかし、この問題はだいぶ改善されていると思います。

この試合でも序盤、だいぶ改善されていました。

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サイドに入った時、非常にコンパクトに守れていたと思います。

最終ラインと中盤の距離だけでなく、ベガルタ仙台戦で緩かったサイドへの寄せはだいぶ改善していました。

井原監督が「やろうとしていることはできている」と表現しているのはこの点だと思います。

ただ、あえて疑問点を上げてみると。

上記の場面、大宮アルディージャはサイドでいったん縦にパスを出したものの、實藤の寄せボールを後ろへ戻す状況に。

そこへ城後と、末吉が寄せて完全にパスコースを塞ぎました。

この時、大宮アルディージャのパスの選択肢は、横にいる家長ぐらい。

アビスパとしては、完全にアルディージャの攻撃をサイドに押し込んでいたので、プレスに行っても良かったんじゃないかと。

この時画面には入っていないのですが、坂田は高い位置で構えていました。戻ってきて、プレスに参加しても良かったような気もするんですが。

あと、金森と為田のポジション。

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矢印の方向にスライドしても良かったんではないかと。

もちろん、坂田、金森には奪ったあとの攻撃の役割もあります。

とはいえ、4 – 4 – 2 の基本的な動きを考えれば、為田のポジションはもう少し高くても良かったんじゃないかと。

そのほうが、このシーンではボールを奪えたんじゃないかと。

実際、ここから家長にパスがでて、さらに横にいた金澤にボールが出ます。

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金森が詰めていたら、このタイミングで下がってきた坂田と挟み込めたか、素早くプレスから奪えたかもしれません。

その時カウンターの先頭を切るのは、為田と考えるとポジション低すぎないかなと。

誰か選手についているわけじゃないですし。

大宮のサイドも低い位置にとどまっています。

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ここは高く位置をとっても良いでしょう。

ゾーンプレスの基本は「ボールと味方の位置で自分のポジションが決まる」で決まると言いますが。

為田、金森の位置はそこまで考えたポジションとは言えないかもしれません。

アビスパが攻め切れないのはこうした細かいところの成熟度だったりするのかなと思ったりもします。

結局このあと、左サイドまでボールを持ち込まれしばらくアルディージャの攻撃が続き、攻めこまれます。

あの場面で奪えていたらと想定すると、展開が全然違うわけです。

アルディージャに付け入る隙はあった

また、GK からのクリアボールが相手のサイドバックに入って、ボランチとのパス交換のシーン。

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城後が素早くプレスに入り、そのあと距離はあったものの三門がボランチにチェク。

このプレスが効いて、アルディージャは前を向けない形に。

このとき坂田が最終ラインへのパスコースを消しながらプレスへ。

それと連動して金森も最終ラインへのパスコースを消しに入っていれば、アルディージャはサイドに押し込まれたはずです。

しかし、金森も坂田も 1,2 歩動いただけで、プレスに加わりません。

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その結果、アルディージャは最終ラインへパスコースを確保。

簡単にボールを保持させてしまいます。

長い距離を走るわけではなく、1,2歩じゃなく、7,8歩動いたら成立する動きです。

そう大変なことじゃないと思うんですが…。

せっかく良い形を迎えるのに、最後の締めが全くできていないアビスパ福岡のゾーンプレス。

中盤で大宮アルディージャからボールを奪うチャンスはあったように思うんですが…。

守備ブロックの形成については、だいぶ整理されたようですが、「ボールを奪う」ということに関しては、積極出来ではないようです。

あと一歩詰めていれば、アルディージャから上手くボールを奪えそうなところまでは行ってるように思うんですが。

スライドの遅いセンターバック 2 人

前回対応の悪かった「逆サイド」にボールを展開された時の守備陣のスライド。

この日は、城後、為田、駒野、實藤といったサイドの選手はその点においてかなり意識高くやれていたと思います。

しかし、このスライドが遅いと思われるのが、センターバックの 2人。濱田と、キム・ヒョヌンです。

大宮アルディージャに対して高い位置からプレスに入って最終ラインも高い設定にできたシーン。

ボールを逆サイドに入れられるんですが、末吉、為田、駒野が素早く対応。

しかし、駒野が開けたスペースを埋める素振りを見せない濱田。

すっぽり、センターバックとサイドバックの間に巨大なスペースを提供してしまいます。

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2 人に挟まれ、ワンタッチでのプレーをするしかなかったので、パス精度は低かったですが。

ボールを蹴る直前でも濱田はここにいます。

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精度の高くないボールですが、結局ヨーイドンの勝負を挑まれてしまいます。

まあ、なんと先に追いついて対処はできましたが、そもそもスペースを埋めていればここまで慌てなかったでしょう。

対応としても結局タッチラインの外にクリアしたんですが、もっと余裕をもってボールに触れればマイボールにできたかもしれません。

さらに言えば、相手も裏へのパスを選択せず、場合に寄ってはパスの出し先に迷った結果、高い位置で相手を囲えたかもしれません。

そうなっていれば状況は全然違ったはず…。

ちなみに、濱田が走りだしたあと、キム・ヒョヌンは濱田のスペースを埋めに行きません。

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そこのスペースに向かって、大宮の選手が走っています。

もし、万が一ボールが通っていたら、かなりマズイ状況です。

正直、アビスパの 4 – 4 – 2 のゾーンプレスはセオリー通りに動かないことが多く。

それもセンターバックはその傾向が強い気がします。

その結果、穴が多すぎる気がするわけです。

効果的にボールが奪えないし、攻めにも転ずることができないわけです。

この状況から考えると、結局アビスパが整備したのは、「4 – 4 のブロックを整備した」ことだけの可能性が高いわけです。

それまではそのバランスすら崩していたわけなので、そこを埋めることができたことは改善です。

ただ、攻撃を考えるほど戦術的な守備が浸透しているとは言えないように見えます。

井原監督はやりたいことができていると言いますが、攻撃に繋がる守備はこの試合ほとんど見られませんでした。

一方大宮アルディージャを見てみると

あんまり、このブログでアビスパ福岡の対戦チームと比較を入れたことはないのですが。

大宮アルディージャの最終ライン。

アビスパが最終ラインまでボールを下げた時の最終ラインですが、サーッとラインを上げます。

アビスパの最終ラインがこんなに早く動いたのを私はほとんど見たことがないです。

ardija

もっとゆったり上がります。

また、アビスパがサイドチェンジした時の対応。

まず、右サイドにボールがあるとき。

ardija-side1

ここから、左サイドへ展開。

ardija-side2

状況が違うので一概に言えませんが、しっかりセンターバックもサイドバックとの距離を取って詰めています。

スライドによて、選手間の距離はややできますがしっかりと等間隔で中央も最終ラインもスライドしてきます。

濱田のようにポッカリスペースを開けてしまうということはありません。

この辺の組織は段違いで大宮アルディージャが上でした。ここはスコア以上に差があると感じました。

後半出てきてもそこまで怖くないウェリントン

この試合の後半になると、井原監督はウェリントンを投入し、城後を下げ、代わりに平井を入れてきました。

以前も指摘したんですが、ウェリントンを入れると高さができます。

しかし、金森、平井、邦本といったメンバーと違って中央で張ることの多いウェリントンは、前線の動きを止めてしまうことが多いです。

サイドから献身的に切り込み、身体能力のある城後がいないとなると、その傾向がさらに強まります。

特に後半、運動量が減ってきて、ゴール前に侵入する選手がいないとなると、結局ウェリントンだけがゴール前で張ることに。

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このシーンでは平井がサイドから侵入しているものの。

ウェリントンに 2 枚 DF が張り付いています。

こうなると、さすがのウェリントンでもどうしようもない。

駒野がボールを持っていますが、クロスがあがってもこれではチャンスが薄い。

ウェリントンが後半出てきてパワープレーを選択できる心強さはありますが、そこまで相手が対応に苦労しているようにも見えません。

これはウェリントンだけの問題ではなく、もっと周りの選手の工夫が必要な気がします。

いくら、フィジカルが強いと行っても、中央で張っているだけでは、DF を 2枚つけるなど対応も簡単です。

またマンツーマンで負ける濱田

浦和戦、FC 東京戦と、マンツーマンの守備であっさりマークを外し、フリーでシュートを打たせてしまうという事態を招いた濱田。

この日はあっさり外されはしませんでしたが、相手の動きに後手を踏んで触られたところから家長に決勝点を奪われます。

スカパーでは相手の交代を抜くので前後の動きがよくわからなかったんですが…。

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ちょっと濱田のところでヤラれ過ぎじゃないかと。

マンツーマンの良い点は責任所在がはっきりすることと言いますが、濱田に誰か喝を入れて欲しいくらいです。

堤はベンチ入りしていたようですが、先発に使わないのは堤の状態にもよりますが、濱田の方が良いのでしょうか…。

アビスパに希望はないのか?

アビスパ福岡の気になるところばかり上げてしまいましたが。アビスパに今後浮上のチャンスはないんでしょうか。

もちろん、全くない訳じゃないです。

個人的には、以下 2 点が今後の希望ではないかと。

高い位置で奪えれば、勝負できるはず

活路があれとすれば、やはりカウンターでしょうか。

奪いどころをみすみす逃していると言いましたが、状況に寄っては高い位置で奪えることもあるわけで。

それが、上手く行ったのがこのシーン。

ややファールぽかったものの、主審が流してくれたので、そのまま DF ラインの裏へ。

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坂田は、このシーン城後と相手選手がからみ合って倒れたところから、しっかり狙っていました。

この辺はベテランというか、虎視眈々と狙っているところはさすが。

一歩が早ければ、シュートまで持っていけました。

やはり、アビスパが活路を見いだすとしたらこのプレーでしょう。

もっと、連動してボールを奪うことができればよいのですが。

ボールへ遠くなるほど、選手が立っているだけのことが多いです。

そこの意識改革は必要な気がします。

リオ帰りの冨安の頼もしさ

17歳のプレーヤーにすべてを期待するのもどうかと思いますが。

ただ、今年一番成長した選手は誰かといえば、冨安でしょう。

平井のシュートを演出したシーン。

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相手のパスをカットして、すぐさま平井へ縦パス。

この日は、パスの展開を経由するシーンでは狭い位置で受けながらもパスを展開。

守備でも積極的に守備をしながら、球際で負けない強さ。

ボールを奪って攻撃に転換するシーンも。

ダニルソンが今後出てくるか判りませんが…。

ダニルソンとボランチを組めると、かなり魅力的な中盤になりそうな予感があります。

とはいえ、厳しい最後の精度

こればっかりはもう判ってることであったとしてもそうそう改善できるものでもありません。

駒野もアビスパの印象として「最後の精度の悪さ」をあげていましたが、数少ないチャンスをものにするには最後の精度がものを言います。

活路としてカウンターを上げましたが、そこに最大の弱点が横たわっているのがアビスパです。

EURO でフランス代表のグリエスマンが注目されましたが、所属クラブのアトレティコ・マドリードのカウンターサッカーを支えているのは、グリエスマンのような精度の高いプレーヤーです。

試合終了間際の金森のシュートシーンですが…。

kanamori-shoot

土壇場でこういったシュートを外していては、今のアビスパに勝機はなかなか巡ってきません。

7月29日の登録期間ウィンドーは終了してしまいました…。

現行の戦力で戦うしかないアビスパ福岡。

残り 10 試合、井原監督はどういった戦略を見せてくれるのでしょうか。

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