弱者の戦略とは「頭を使うこと」ではないのか?アビスパ福岡の「勝つ気」がない「考えないサッカー」に喝

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本気で勝ちたいのかやはり疑ってしまうレベル

これは個人的な体験ですが。

スポーツをやっていた方は経験があると思うんですが。

「それでも勝つ気はあるのか!?」

と、怒られたことがあると思います。

小学校、中学校、高校と、野球、ラグビーと「弱小」チームにしか所属したことがない私としては常に監督や父兄から投げかけられた言葉です。

では、「勝つ気」とはいったいなんなのでしょう。

そりゃ、どんな競技をやっていてもできることなら「勝ちたい」でしょう。

しかし、個人的にはこの「勝ちたい」と「勝つ気」はイコールではないと認識しています。

「勝つ気」というのは、勝ちたいという希望ではなく「勝つために必要な意欲」だと思っています。

「勝つ気あるのか?」

と言われると、気合が足らないような指摘に聞こえるのですが。

まあ、実際、そう言っていた方々も、そういうつもりで使われていたのかもしれません。

ただ、大人になって気がついたのは、「勝つ気」というのは非常に緻密なものだということです。

「勝つ気」は経験と技術とそれに基づいた戦略

学生時代のスポーツではまったく実績はありません。

ただ、社会人として働くようになって、この「勝つ気」の意味がなんとなく理解できたように思います。

プレゼンで勝ちたい!とどれだけ強く願っても、良いプレゼン資料は作れません。

これが「勝ちたい」という願いですね。願いはどれだけ強く願っても、願いです。

この願いすらなければ、お手上げなわけですが。

そこから勝つために必要なことは何か?を追求していく動機が「勝つ気」だと思っています。

新卒の社会人の方はこの「願い」は強いものの「勝つ気」に至るものがありません。

だから、傍から見ていて「こいつ口では言うけど、ほんとにやる気あるのか?」なんて見えてしまいます。

勝つ気とは、それを支えるための経験や、技術そしてそれらを駆使して考えだされる最良の手段、戦略を含めて「勝つ気」だと思っています。

それらが揃って始めて傍から見ても「勝つ気満々だね」という評価に繋がるのだと思っています。

「勝つためにはどうしたら良いのか?」

をちゃんと考えることが「勝つ気」に繋がるように思います。

勝つ気が見えないアビスパ福岡

そういった意味で、この鹿島アントラーズ戦と、アルビレックス新潟戦においては「勝つ気」が見えないアビスパ福岡。

鹿島アントラーズ戦の試合後インタビューでは、井原監督も「完敗」とコメントしていましたが、勝ちへのアプローチが全く見えない。

その中で最も問題なのが「リトリート」。

井原監督がアビスパの監督に就任して最初に取り組もうとしていたサッカーがどういったものなのかは、もう今となっては謎です。

ただ、明確に諦めたことがあると思っています。

それが、ゾーンプレス。

J2 昇格年度、井原監督は 4 – 4 – 2 を導入。特に守備において中盤がセカンドトップを全く捕まえられないという事態に。

これは、前任のプシュニクの影響だと思われますが、とにかく選手が前のめりで 4 – 4 – 2 でライン構成が全くできず、裏からの飛び出しに全く対応できませんでした。

この結果、全くバランスが取れず。

その改善策として出てきたのが、3 – 5 – 2 をベースとしたリトリート戦術でした。

J2 ではこのリトリートが功を奏して昇格したわけですが…。

J1 では完全にジリ貧に。

徐々に整備され始めた 4 – 4 – 2 に移行しラインをある程度高く設定することにチャレンジしているようにも見えたんですが。

この鹿島アントラーズ戦、アルビレックス新潟戦はリトリート色が強く出ていました。

リトリートからの攻撃を担うセンターハーフ

リトリートの欠点を指摘する前に、リトリートする上でどうアビスパが攻撃しようとしているのかを見てみます。

アビスパで井原監督が構築した「リトリート戦術」で重要な役割を果たすのが、センターハーフです。

3 – 5 – 2 ではボランチといった方がよいかもしれません。

昨年 J2 でチーム得点王だったのは 3 – 5 – 2 の底に入った鈴木惇でした。

FK からの得点もありますが、シーズン後半から形になりだした攻撃において、ボランチの押上げは非常に重要でした。

そこで鈴木惇が攻撃に絡んだからこそ得点が生まれました。

代役で出場した中原秀人なども同様の形で得点に絡んでいたことを考えると、アビスパの攻撃の形だったはずです。

試合終了後、井原監督が真っ先に声をかけるのもボランチでしたから、その重要性がわかります。

今シーズンも、このベースは受け継がれていたと思います。

センターハーフがチームの中心となる路線は変わっていなかったと思われます。

ダニルソンをシーズン開幕に獲得し、怪我でまともに出場でいないとなると、三門を補強。

現状のメンバーでは井原監督が理想としているセンターハーフ像に及んでいないことが推測できます。

では、このセンターハーフが実際「リトリート」からの攻撃時にどういった形で貢献するかというと。

その一例が鹿島アントラーズ戦でありました。

低い位置ながら、ボールを奪ったシーン。

すぐさま三門がボールホルダーをフォローし上手く前を向いたシーン。

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三門の上手さもありましたが、ボール奪取後にボランチがスムーズに前を向く。

というのは、アビスパの理想の形の一つだと思います。

サイドで奪って、反対サイドのセンターハーフに渡してカウンターというのもあります。

邦本がいると、このタイミングでセンターハーフの位置に居たりして上手くボールを引き出してくれます。

邦本が入るとアビスパの攻撃がスムーズになるのはこの辺が影響していると思われます。

また、センターハーフの押上げについては冨安が現状担っています。

三門が下がって、冨安が前に出るという形です。

前に出た結果、鹿島戦では失点につながってしまったんですが…。

avispa-lost

守備に言及してしまうと、この時アバウトだったのがキム・ヒョヌン。

冨安が上がっていた分、相手 FW にフリーでボールが出ます。

さすがにこのタイミングで、FW との距離を詰めろというのは酷かもしれませんが…。

ただ、このときキム・ヒョヌンが一瞬、前に出ようとしてやめてしまうんです。

kim-d

後ろの守備の人数はそろっていたので、キム・ヒョヌンがドリブラーに向かって突っ込んでいれば、パスをカットできないまでもプレッシャーかけられたんじゃ…。

結局中途半端になって、どっちつかずのランニング。

下がるなら下がるでちゃんと下がっていれば、スペースにパスを出されることもなかったのかと。

パスを出されても見ているだけなんてことにもならなかったはず。

ハッキリと判断したかったところです。

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攻撃に話を戻しますと、ここでは失点につながりましたが、冨安が前に出て攻撃に絡むことで、アビスパの攻撃に厚みが出るのも事実。

それは、大宮アルディージャ戦でも見られた形でした。

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そういった意味では、ボランチからしっかりと攻撃を組み立てるという路線は模索されていると見れます。

この時期になって J1 仕様のスタイルが構築できていない。というのが実に厳しいですが。

ここは、結局殆どの試合に出れずじまいのダニルソンも誤算が大きかったでしょうか。

最大の問題、リトリート

現状アビスパの問題は、リトリートの守備にあります。

直近の試合でアビスパは一時顕著だった「バイタルエリアをポッカリ空けてしまう」ことはだいぶ減りました。

この試合も後半亀川がハンドを献上してしまった時もバイタルの守備における距離感はそう悪くなかったと思います。

アビスパのバイタルに対して空き気味という指摘がありましたが、縦の関係において、それはないと思います。

現状の問題は個人的に以前から指摘しているのですが、サイドへ振られた時の対応です。

この時、縦の距離感が空くことは無いですが、横のスライドの距離感が非常に悪い。

これは、鹿島戦でもそうですが、アルビレックス新潟線では顕著に出ました。

avispa-side

パターンはいろいろですが、中央から外へ展開された時や、早いサイドチェンジをされた時。

このエリアのスペースをポッカリ空けてしまいます。

指宿にサイドからパスを入れられてシュートを打たれたシーンなど

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冨安が「あっ」という感じで振り返っていますが、レオ・シルバにワンツーマン気味につきすぎ、バランスを崩します。

この辺は、どういった指示があったかわからないのですが。

最初はちゃんとこのスペースを冨安は埋めていたんですけどね。

ゾーンで守っているなら、下がっていたレオ・シルバは放置して良かったかもしれません。

レオ・シルバに気を取られすぎた結果、スペースを作ってしまいます。

この他にもこの試合は、ボランチのところで自由に回されて、逆サイドへ簡単にボールを入れられます。

これはこれまでも何度も見受けられたシーンなのですが、この日はアルビレックスがこの形を狙っていました。

サイドに入ると、アビスパは近い選手がチェックに入るんですが、その後が連動しないのでスペースが空きます。

そのスペースへ、アルビレックスは必ず人を入れてきました。

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上記のシーンなど、同じような戦い方しているチームはどうしているのかなと、直近で 4 – 4 – 2 でリトリートしていたチームを思い出すと。

昨シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝のバイエルン・ミュンヘン vs アトレティコ・マドリードのセカンドレグ。

完全にリトリートしてバイエルン・ミュンヘンの攻撃を受けていたトレティコ・マドリードを思い出しました。

録画を見返したところ。

バイエルン・ミュンヘンがサイドチェンジした時、このスペースをどうしていたかというと、グリエスマンや、トーレスが埋めていたんですね。

上記シーンであれば、平井が埋める形です。

avispa-space

しかし、平井はこのまま画面からフェードアウト。

ここは攻撃にも関わるところなので、どういった約束事があるかにもよると思うんですが。

どうせ、2枚いてもプレスしないんなら、一枚下げても良いと思うんですけどね…。

FW が 2 枚いてもこの 2 人で電光石火のカウンターが生まれるわけでもないですし。

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この状態でも坂田はプレスに行かないわけですから(坂田がプレスに行って、平井がパスコースを消すといった動きがあるなら別かもですが)、ボールサイドにない FW は守備時に下がって、4 – 5 – 1 にしてしまった方が守備は安定しそうです。

中盤も厚くなる分、ボールでも出やすくなるんではないかと。

3失点目が特徴的だったんですが、アルビレックス新潟のサイドの対応で堤がつり出されます。

そこにスペースができます。

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この時、このスライドは誰が埋めるべきなのか?

チームの約束事にもよるかもしれませんが、キム・ヒョヌンがスライドするのか、冨安が下がるのか。

ここを冨安が素早くスペースを消しに行っていれば、このシーンは前から寄せられていたはず。この攻めを後側で見ている余裕はあったので、戻れたはず。

欧州の選手はこうしたスペースや、相手との距離感を保つことを訓練されていると言いますが…。

こういったところ放置してしまうことを、下の世代でどの程度アビスパの育成スタッフはどう認識しているのでしょうか。

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もっと前から言えば、為田がなぜ、ここで相手を捕まえに行かなかったのか?

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このシーン、ずっとしつこくチェックしていたのは三門だったんですが、その間見ていただけの選手が少なくとも冨安と、為田。

自分が何をすべきなのかを考えていないように見えます。

ただトボトボ歩いているより、もっと効果的な動きはできていたと思うんですが…。

逆に相手が開けたスペースを使わないのもアビスパ福岡です。

後半、バイタルが空き気味だったのは、むしろアルビレックス新潟。

アビスパのボール回しに対してイケイケなアルビレックスのボランチは前がかりになって居たと思います。

DF ラインとボランチにかなりの距離が。

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このとき、全員が全員裏を狙うばかりで、この間に入る選手が誰もいません。

こんな時に邦本がいると、このスペースを使ってくるはずなんですが。

遡ってみると、鹿島戦でのゴール前。

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三門からサイドへパスが出たタイミング。

ゴール前で坂田が下がり気味にポジションをとりパスコースができると、鹿島のボランチと、DF が坂田へ挟み込む形で寄せます。

坂田にボールが入ったら、二人がかりで奪ってしまおうという動きです。

アビスパでは無い動きです。

ただ、この動きにはリスクもあって、鹿島は最終ラインにスペースを空けます。

金森の前にスペースが空きます。

タイミングとしては、走り込めたと思うんですが。

結局金森はこのスペースには興味がないらしく。

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サイドにボールが出ると見るや、歩く始末。

サイドに行ったら、もうボール出ないかもしれないけど、その前にもうちょっと考えて走れよ!

と、なるシーンです。

といった風に、アビスパは守備だけでなく攻撃でもイマイチ相手の開けたスペースを使えません。

また、アビスパの試合はボールにかかわらない選手をみていると、明らかに「サボっている」ことが多いんです。

サボる気は無いのかもしれないので、「何も考えていない」と表現になるんでしょうか。

まともに戦ったところで勝てないかもしれない相手に対して、全員が「効果的に動くためにはどうしたら良いのか?」を追求している感が無い。

むしろ鹿島などは、常に相手の隙を狙っています。

特に相手を挟んでボールを奪うまでのアプローチはアビスパの遥か上。

常にボールを持つであろう選手を予測して寄せてきます。これは常に「考えている」からできることだと思います。

完全に相手がボールを保持しているときは、前線はマンツーマン気味でつきます。

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アビスパの FW にもこのくらい前線でも守備して欲しいのですが。

どうも、守備しているようで、守備していないのが今の FW に思えます。

もちろん、攻撃の役割があるのでこの見方は見当違いなのかもしれませんが…。

じゃあ、攻撃時に 2 人で効果的な動きをしているかといえば、そうでもないのが解せないところですが。

鹿島は神山のゴールキックのパスをカットするシーンもありましたが、こうした「どうやったら相手からボールを奪えるのか?」という追求が「勝つ気」なんだと思います。

アビスパのサッカーはどうしても「ただやっているだけ」に見えてしまうわけです。

残留はかなり厳しくなってきましたが…

甲府が勝利したため、下位 3 チームが固まってきました。

可能性が無いわけではないですが、アビスパの残留はいよいよもって厳しくなってきました。

もちろん、最後まで戦い抜いてほしいわけですがここで改めて問いたいのは「アビスパ福岡が目指すサッカー」とは何なのでしょう?

バルセロナのような華麗なパスサッカーでしょうか。

それとも、アトレティコ・マドリードのような泥臭い守備からのカウンターサッカーでしょうか。

就任当時、井原監督はアトレティコ・マドリードを理想のチームとしてあげていました。

さて、今のチームはアトレティコ・マドリードと比べてどうでしょう?

どこか、さっぱりしてませんでしょうか?

個人的には、もっとモダンな 4 – 4 – 2 のゾーンプレスを見たいんですが。

守備はリトリートしかない」。

というのであれば、FW 一枚削って、場合によっては 4 – 1 – 4 – 1 のような守備的な陣形も良いのじゃないでしょうか。

今の 4 – 4 – 2 はどこか鹿島戦のキム・ヒョヌンの守備のような「前に行こうかどうしようか」という迷いを感じてしまいます。

もうだいぶ長い間今の形で成熟を模索しているようですが、結果が出た試しがありません。

かといって、未来のアビスパ福岡を想像させるような強烈なコンセプトがあるわけでもありません。

だったら、もっと泥臭く現実に拘ってみませんか?井原監督。

今のままでは中途半端すぎやしませんでしょうか。

個人的にはそれは、結局「勝つ気があるの?」と、見える最大の要因な気もするんですが。

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